生きがいラボ株式会社

治療を途中で止めてしまう“離脱患者”の予防策と呼び戻す方法

21.10.05
業種別【歯科医業】
dummy
歯科クリニックにおいて、治療の途中で患者が来なくなることはよくあることといえます。
途中で治療を止められてしまうと、そのぶん収益が見込めませんし、何より患者のためにもなりません。
しかし、患者が離脱しやすいタイミングは決まっており、離脱する原因もある程度絞ることは可能なため、予防することもできるのです。
今回は、患者を離脱させない方法と、呼び戻す方法について考察します。
dummy
患者の離脱が起きやすいタイミング

歯や歯茎の治療は、その多くが投薬だけで治せるものではなく、歯を削ったり、歯型を採ったりと、段階的に行っていく治療がほとんどです。
したがって、1回で治療を終わらせることは難しく、患者には何度も来院してもらうことになります
また、保険治療は1回で行える治療に限りがあることも、通院回数が増えてしまう原因といわれています。

できるだけ患者の通院回数を減らしたいと考える歯科医師がほとんどですが、構造的に難しく、どうしても患者には何度も通ってもらわなくてはなりません。

しかし、その治療の途中で通院を止めてしまい、治療から離脱してしまう患者は少なくありません。
それまで順調に来院してもらっていたのに、ある日を境に患者がフェードアウトしてしまったという経験は、歯科医師であれば誰もが持っているのではないでしょうか。

歯科医師は、クリニックの収益と患者の健康の観点からも、治療の途中で離脱させないようにする必要があります。
そのためには、まず患者が離脱しやすくなるタイミングを把握しておくことが重要です。
離脱が起きやすいタイミングは、『歯の痛みがなくなった』『治療が次のステップに進む』『定期検診を忘れる』などに分けることができます。

たとえば虫歯であれば、患者はまっ先に歯の痛みをとってもらいたくてクリニックに来院します。
しかし、治療によって痛みがなくなると、「もう通う必要はない」と勝手に判断して、来なくなってしまいます。

治療が次のステップに移るときにも、患者のなかには「一区切りついた」と、勝手に通院を止めてしまう人がいますし、定期検診を受ける時期を迎えた患者のなかにも、来院するのに最適な時期を逃してしまい、そのまま足を鈍らせてしまう人がいます。

では、このような患者の離脱を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。
次に、離脱の予防と離脱してしまった際にとれる対策を考えていきましょう。


離脱を防ぐ方法と来院の再開を促す施策

患者の離脱は、離脱が起きやすいタイミングの前に、治療を途中で止めることのリスクをきちんと説明することである程度防ぐことができます。

治療途中の歯は、とても不安定な状態のため、放っておくと治療前よりも悪化してしまうケースもあります。
虫歯の治療であれば、ある程度痛みをとり、修復治療に入る段階で、治療を止めてしまった場合のリスクを説明しましょう。
痛みをとることだけでなく、健康な歯として使えるようになるまでに必要なステップを理解してもらいます。

また、定期検診も次回の予約を入れてもらうタイミングで、定期検診を受けなかった場合のリスクを説明することが重要です。
「定期検診を受けている人は80歳までに平均して15.7本の歯が残っており、受けなかった人は、平均して6.8本しか歯が残っていません」など、データを基に話すのも有効です。

そして、患者の離脱を防ぐと同時に、すでに来なくなっている患者を呼び戻す施策も行っていく必要があります。

患者が治療を途中で止めてしまう理由は、「担当医と合わなかった」や「別の歯医者にしたかった」などさまざまありますが、そのなかでも比較的多いのは「面倒くさい」や「忘れていた」「忙しい」など、患者自身の“気分の問題”です。

なんとなく通院が億劫になっている患者に対し、歯科医院側が何のアプローチもしなければ、なおさら患者はフェードアウトしていく可能性が高くなります。

来院時に次回の予約を入れてもらうのはもちろん、治療と次の治療までの間が空いていたり、治療の途中でも次の予約をとっていなかったりする患者には、メールやはがきなどで来院を促すことを積極的に行う必要があります。
「面倒くさい」「忘れていた」などが理由で通院を止めている患者は、少しの後押しで通院を再開する可能性があるのです。
治療している歯の現状や今後の治療について説明をし、来院の必要性を理解してもらうことが大切です。
少なくとも、離脱になりそうな段階で一度は連絡してみることをおすすめします。

来院を促す連絡は嫌がられてしまう可能性もありますが、それでも、治療の継続は患者のためでもあります。
クリニック全体で、患者一人ひとりに積極的にアプローチを行っていきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年10月現在の法令・情報等に基づいています。