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建築基準法に準じていない『違反建築物』の購入に注意!

20.12.22
ビジネス【法律豆知識】
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日本で建築物を建てる場合には、建築物の敷地や設備、構造などの基準を定めた建築基準法を遵守しなくてはなりません。
ほかにも、建築物省エネ法や都市計画法、消防法、各自治体の条例など、守るべきルールは多岐に渡ります。
しかし、実際に売買されている不動産のなかには、これらの法律等に適合していない『違反建築物』も少なくありません。
そこで今回は、違反建築物の基礎知識とともに、誤って購入してしまわないための注意点を解説します。
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建築基準法に違反した物件も流通している

建築基準法は、建築に関する“最低基準”を定めた法律です。
建築基準法の目的は、『建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資すること』にあります(建築基準法第1条)。
人々が安心して生活できるよう、防災や風通し、日当たりなどさまざまな観点から、良好な環境を保つための基準が定められているのです。

たとえば、土地の利用方法を制限する『用途地域』というものがあります。
大きくは住居系用途地域、商業系用途地域、工業系地用途域に分けられ、『第一種低層住居専用地域』『第二種低層住居専用地域』などがあります。
そして、用途地域ごとに、建てられる建築物の用途に制限があり、建築物の容積率(敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合)や、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)、高さなどの上限も決まっています。

ほかにも、建築物を建てる際には、敷地が2m以上道路に接していなければならないという『接道義務』があります。
窓の有無や避難経路となる廊下や階段の幅、防火の観点から建物の構造や材料なども細かく決められています。

また、建築主は、建築物を建てる前に必ず、官公庁や指定確認検査機関に『建築確認申請』を行い、法に適合していることを示す『建築確認済証』の交付を受けなければなりません。
また、家の完成後には完了検査を受け、『検査済証』の交付を受けます。

このような建築基準法の実体規定に違反する建築物は、『違反建築物』となります。
たとえばマンションなどであれば、建築基準法で定める範囲を超えた容積率や建ぺい率で建てられているケースがあります。
コストを下げるために、防火上の基準に満たない建材が使われていたり、新耐震基準を満たしていなかったりする可能性もあります。
また、戸建て住宅で、本来は建築確認申請が必要となる増築を無断で行ってしまうケースも存在します。


違反建築物の購入によって被るデメリット

このような違反建築物でも市場には出回ることがあるので、一般の方でも購入することは可能です。
しかし、住宅ローンの審査では適法性の観点から弾かれてしまい、基本的に金融機関からの融資は望めません。
2002年頃から違反建築物の取り締まりが強化され、さらに2003年に国土交通省が金融機関に対し、検査済証のない建築物への融資を控えるように要請したことが、その理由です。

違反建築物であることが発覚すると、法令に基づき、その建築物の所有者、建築主、工事請負人などに対して、使用禁止や移転、改築、除去など、違反を是正するための必要な措置をとるよう命じられる場合があります
また、措置命令に従わない場合には行政代執行という行政処分が下されることもあります。
しかし、すでに人が住んでいた建物については、市場に流通しているのが現状です。
違反建築物を取得してしまった場合には、新たな所有者が、違反を是正しなければなりません。

一方、建築した当初は問題なかったものの、法律等の改正により基準に適合しなくなった物件も存在します。
このような建築物は違反建築物とは区別され、『既存不適格建築物』と呼ばれます。

違法ではありませんが、昔の基準で建てられた建築物なので、当然、現在の基準で建てられたものよりも価値は下がりますし、建て替えや増築の際には、現在の法律に準じた形にしなければいけません。
また、違反建築物ほどではありませんが、金融機関の審査も通りづらく、売却する際にも高い値は付きづらい傾向にあります。


違反建築物をうっかり購入しないために

違反建築物や既存不適格建築物を購入しないためには、まずは建築年を確認するのが定石です。

2003年以降の取り締まりが強化されてからの建築物には、既存不適格建築物や違反建築物は少ないと考えられます。
特に、ここ数年に建てられたものは、コンプライアンスの観点からも違反建築物はほとんど見られないといわれています。
もし違反建築物や既存不適格建築物であれば、原則的に仲介会社の宅地建物取引主任者から説明がありますし、説明がない場合は宅地建物取引業法における義務違反となるので、意図せずにこれらを購入してしまう可能性はかなり低いでしょう。

ただし、仲介業者も気づかないような違反があるのも事実で、一般人が違法かどうかを見抜くのが難しい物件も存在します。

住宅を購入するときには、建築確認済証や検査済証を自ら確認することも大切です。
また、もし購入したい物件に不安なところがある場合には、建築士に調査を依頼するなどして、建築基準法に違反していないかどうかを調べてみるのも方法の一つです。

気づかずに違反建築物や既存不適格建築物を購入してしまうと、暮らしの安全面でもリスクを抱えることになります。
購入前には慎重に確認するようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。