ノーレイティングは万能の特効薬なのか?
しかし、ノーレイティングへの認知度が高まるにつれて、明らかに間違った情報も目にするようになりました。
前回はノーレイティングへの誤解として、下記の3つを挙げ、1番目と2番目について解説しました。
① ノーレイティングでは、人事評価がない
② ノーレイティングによって、管理職に大きな負担がかかる
③ ノーレイティングを導入しないと時代に乗り遅れる
今回は、誤解の3番目について解説します。
乱立する新しい経営手法
米国企業での導入が話題となり、組織のパフォーマンス・マネジメントを革新する手法の一つとして、日本でも「ノーレイティング」が注目されるようになってきました。
数年前の話になりますが、ゼネラル・エレクトリック(GE)が9ブロックという人事評価のフレームワークを廃止したという情報は、人事業界ではかなりインパクトのあるニュースだったかと思います。
こういう新しい経営手法は海外からの輸入が多いのですが、紹介される論調の多くは、
「海外企業ではこんなことをやっている!」
「日本企業は遅れている!古い!」
という主張になっていることが多いように見受けられます。
ひと昔前に流行した「成果主義人事制度」も代表例と言えますが、現在ではノーレイティングが組織活性化の特効薬のように語られることもあります。
しかし、それぞれの組織によって課題が違うので、どの組織にも効く特効薬などあり得ないわけですが、新しい手法が出ると「カタチ」だけマネする組織が出てきます。
カタチだけ真似をしてもうまくいかない
私の個人的な見解は、日本企業もノーレイティングを検討する価値があると考えています。
しかし、ノーレイティングが生み出す変化の核にあるのは、手法の変化ではなく、組織観・人間観などの「哲学」の変革ですので、カタチだけ取り入れてもうまくいかないでしょう。
私が大切だと考えることは、ノーレイティングを導入するかどうかを検討するプロセスのなかで、
「この組織のありたい姿は?」
「つくっていきたい組織と社員の関係性は?」
「人間の本質とは何なのか?」
「どのような社会をつくっていきたいのか?」
という、すぐに答えが出るわけではない、深い『問い』と真剣に向き合うことだと思います。
経営陣や管理者層がこれらの「問い」に真剣に向き合うことで、仮にノーレイティングの仕組みそのものを導入しなかったとしても、組織運営のスタイルが変わっていくはずです。
私がノーレイティングをお勧めしているのは、このためです。
現在のノーレイティングへの注目が、単なる「テクニックの模倣」に終わらないことを願っていますし、このメルマガでは本質に関わる情報を発信していきたいと思います。
次回からは、米国型ノーレイティングの課題を明らかにし、その解決策を提示していきたいと思います。