生きがいラボ株式会社

36協定に法内残業は含まれる?

18.12.20
ビジネス【労働法】
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【相談内容】 
当社の1日の所定労働時間は7時間30分です。
そのため、従業員に時間外労働を命じたときには、法定残業時間である8時間までの30分であっても割増賃金を支払っています。
36協定にもその時間を含めて協定を統括し、届け出ていますが、これで間違いないでしょうか。
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【結論】
法定内残業(始業時間から休憩時間を除いた実働8時間までの労働時間)の場合は、割増賃金の支払いは不要です。
つまり、所定労働時間が7時間30分の会社で、実働8時間までの30分間残業した場合、時間単価が1,000円の従業員であれば、30分の法定内残業は500円を支払えば足ります。8時間を超えると25%以上の割り増しの支払いが必要になります。
ちなみに、大企業は2019年4月から労働基準法(労基法)の改正によって、時間外労働には上限時間に規制が加わるうえに罰則付きになります。
中小企業は1年遅れて2020年4月から適用されます。36協定の様式も2種類に変わるので注意が必要です。


36協定の現況

労基法36条では、時間外・休日労働協定に関する協定届、いわゆる36(サブロク)協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることによって、法定労働時間(1日8時間または週40時間)を超えて、または法定休日(週1回の休日)に労働させることができます。

いわゆる法定内残業を含む協定は、一見すると延長時間を法定時間になおすと何時間になるか不明となり、不適法な協定といえると解されています(昭57・8・30基発569号)。
しかし、『一定期間についての延長時間として、法定労働時間を下回る事業場の所定労働時間を基準に定めた時間外労働時間の限度を協定し届け出る例、(中略)が少なからずみられるところである。これらの届出は本来適正な届出とは認められないが、労使慣行への影響等を配慮して、当分の間やむを得ないものとして取り扱うこと』(昭57・8・30基発569号、平元・2・15基発65号)として、現実の労使の慣行を考えて当面は協定をやむなく受理していくという方針です。


2019年4月から時間外労働は罰則付きに

しかし、働き方改革関連法によって労基法が改正され、これまでとは事情が変わることになりました。
36協定で定める時間外労働に関しては、企業に罰則付きの上限が設けられることになったのです。
罰則とは、雇用主に半年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるというもので、大企業は2019年4月から中小企業は1年遅れて2020年4月からの適用になります。
では今後、どのような点に注意して時間外労働を取り扱っていけばいいのでしょうか。
厚生労働省のWebサイトにて、『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針について』が公表されています。

厚生労働省のWebサイトによれば、時間外労働の上限は月45時間・年360時間』と定められています。
そして、『臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません』と記載されています。
さらに、月45時間を超える時間外労働は年間6カ月までです。
また、やむなく時間外労働をさせる場合は、『医師による面接指導』『深夜業の回数制限』『連続休暇の取得』などを行い、労働者の健康・福祉を確保することが求められます。


36協定の様式も変更に

同時に、36協定の様式も見直されました。
現在の36協定の様式では、延長することができる時間の欄には、『1日』と書かれています。
しかし、新様式では、1日の欄は、『法定労働時間を超える時間数』と、『所定労働時間を超える時間数(任意)』という形に分けられているのです。
様式は労規則の最後にまとめられている形になっています。
記入例は厚生労働省『時間外労働の限度に関する基準』(2017年3月)にあります。
新様式も2019年4月から適用となります。
新しい36協定の様式にスムーズに対応できるように確認しておきましょう。


罰則付きになる以上、うっかり時間外労働を超えてしまったなどということは避けなくてはなりません。
そのため、企業はこれまでよりもさらに従業員の労働時間を適切に管理していくことが求められます。
これからどのように管理していけばいいのか、今一度、自社の労働時間の管理体制を見直すようにしましょう。