利益率向上に効果大! サロン経営における経費管理の最適化
サロンの経営を安定させるうえで非常に重要な要素が、経費管理です。
材料費や人件費、家賃など、サロンの運営にはさまざまな費用がかかります。
こうした事業のために使用した費用は、経費として計上しなければいけません。
そして、経費を効率的に管理して、無駄をなくしていくことがサロンの利益率を向上させる大きなカギになります。
逆に、経費が適切に管理されていなければ、手元に残る利益は予想以上に少なくなってしまうでしょう。
厳しい経営状況を残り越えるためにも知っておきたい、サロンにおける経費管理のポイントを解説します。
サロン経営で発生するさまざまな経費
サロンの経営においては、経費を正しく把握し、記録することが重要になります。
美容室における主な経費としては、まず「人件費」があげられます。
人件費は売上原価の一部として計上されることもありますが、多くのサロンにとって最も大きな固定費の一つであり、その管理は経営に直結します。
ちなみに、人件費には従業員へ支払う給与や賞与、交通費、各種手当、そして社会保険料なども含まれます。
次に、「材料費」も重要です。
材料費はシャンプーやトリートメント、カラー剤、パーマ液など、施術に直接使用する薬剤や消耗品にかかる費用です。
これらの材料は、お客へのサービス提供に不可欠なものであり、品質を維持しつつコストを抑える工夫が求められます。
ほかにも、サロンの場所を借りている場合は「地代家賃」が発生しますし、電気代や水道代などの「水道光熱費」も、施術に水を多く使う美容室にとっては無視できない経費です。
お客へ提供するタオルやクロス、コーム、ハサミなどの「消耗品費」も経費になります。
そのほかにも、集客のためにかかる「広告宣伝費」、電話代やインターネット回線費用などの「通信費」、事務用品や清掃用品などの「事務用品費」、税理士や弁護士への報酬などの「支払手数料」なども該当します。
さらには、事業を行ううえで発生するさまざまな税金や、従業員の研修費用やセミナー参加費用などの「研修費」も経費として計上することができます。
これらの経費を一つひとつ丁寧に見ていくことで、無駄な部分や改善すべきポイントが見えてきます。
削減するうえで見直したい経費の具体例
経費を適切に管理することで、利益率の向上を図ることができます。
売上が同じでも、管理によって経費が削減されれば、その分だけ手元に残る利益が増えるからです。
利益が増えれば、従業員の給与アップや福利厚生の充実、最新設備の導入、新たなサービス開発への投資など、サロンの未来に向けた積極的な施策を講じることができるでしょう。
また、経費管理の最適化は、業務プロセスや資材の調達方法、人員配置など、サロン運営のあらゆる面を見直すきっかけにもなります。
無駄な作業や非効率な部分を明らかにし、改善することで、よりスムーズで生産性の高いサロンになります。
では、具体的にどのように、経費削減を進めていけばよいのでしょうか。
まず、固定費の一つである「地代家賃」は一度契約すると変更がむずかしいものですが、周囲のサロンに比べて自店の賃料が高い場合などは、資料などを揃えたうえで、管理会社を通して大家と交渉することも不可能ではありません。
また、移転のタイミングで家賃の安いエリアや、フロア面積を最適化した物件を選べば、長期的なコスト削減が可能です。
同じく、固定費の「人件費」も見直しが必要な経費といえます。
むやみに人員を減らすのではなく、ピークタイムに人を増やし、オフタイムには人を減らすなど、業務の繁閑に合わせた柔軟な人員配置を行うことで、無駄な人件費を減らすことができます。
また、予約システムを導入し、お客がオンラインで予約や変更を行えるようにすることで、電話対応などの受付業務にかかる人件費を削減できるでしょう。
こうした固定費のほかに、変動費の見直しも経費削減には効果的です。
変動費とは、「材料費」や「消耗品費」、「広告費」など、定期的に発生しない変動する費用のことです。
たとえば、「材料費」や「消耗品費」であれば、複数のメーカーやディーラーから見積もりを取り、価格交渉を行うことで経費を削減できるかもしれません。
カラー剤やパーマ液の調合量を適正化することで、無駄な廃棄を減らすことができますし、シャンプーやトリートメントも、詰め替え用を利用したり、大容量のものを購入したりすることで単価を抑えることが可能です。
在庫管理を徹底して、過剰な在庫を持たないことが、品質を落とさずに材料費を下げるためのコツです。
経費削減は、品質やサービスのクオリティを落とすことではなく、無駄をなくして、効率的な運営を目指すためのものです。
小さな工夫から、長期的な視点での大きな改善まで、経費削減のアプローチは多岐に渡ります。
まずは自店にかかっている経費を洗い出し、『見える化』することから、始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2025年9月現在の法令・情報等に基づいています。