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『不動産登記法』の改正で新たに追加された申請に必要な情報

24.11.05
業種別【不動産業(登記)】
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所有権者のわからない「所有者不明土地」の発生を防ぐことを目的に、2024年4月1日から、改正された不動産登記法が施行されました。
改正の柱となるのは相続登記申請の義務化でしたが、それ以外にも、登記申請の際に必要となる申請情報と添付情報の変更も行われました。
法人を所有権の登記名義人にする場合は「会社法人等番号」などの法人識別事項が、海外居住者(自然人、法人)を所有権の登記名義人にする場合は国内における連絡先となる者の氏名、住所などの国内連絡先事項が必要になります。
これらのケースに該当する人に向けて、改正により新たに追加された申請情報について解説します。

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法人を所有権の登記名義人にする際に追加された情報

不動産の所有権を保存したり移したりする場合や名義人を変更する場合は、登記申請書を作成して、必要書類と共に法務局に提出する必要があります。
登記申請書には、登記の目的や権利者、不動産の内容など、それぞれの登記に必要な申請情報を記載しますが、不動産登記法の改正によって、新たに登記申請書に記載しなければならない申請情報が増えました。

まず、法人を所有権の登記名義人とする登記を行う際には、新たに「会社法人等番号」などの法人識別事項を記載することになりました。
株式会社や合同会社などの会社を設立する際は、商業登記法に従って法務局に法人登記を行いますが、このときに付与される法人を識別するための番号が会社法人等番号です。
会社法人等番号は12桁で構成され、最初の4桁が登記所コード、次の2桁が組織区分、残りの6桁が個別に割り振られた番号です。

会社法人等番号とよく似た「法人番号」は国税局が付与する別の番号です。
法人番号は、会社法人等番号の先頭に1桁の検査用数字を追加した番号で、法人の税務申告や行政手続きなどに使用します。
登記申請書に記載するのは、法人番号ではなく、会社法人等番号なので注意しましょう。

会社法人等番号は法人の登記事項証明書や印鑑証明書などで確認できますし、法務省のオンライン登記情報検索サービスを使用して確認することも可能です。

なお、外国法人などの会社法人等番号がない法人の場合は設立準拠法国(外国の法令に準拠して設立されていない場合には、設立準拠法)を申請情報とする必要があり、添付情報として、これらを証する情報を法務局に提出する必要があります。

不動産を法人名義にすると、個人名義にするよりも節税や相続税対策になるというメリットがあります。
その一方で、コストや手間が増えるなどのデメリットもあるため、専門家とも相談して慎重に判断しましょう。

海外居住者が登記名義人の場合に必要な情報

不動産登記法の改正によって、海外居住者(自然人、法人)を登記名義人にする場合も必要になる申請情報が追加されました。
海外居住者を不動産の登記名義人にする場合は、「国内における連絡先となる者の氏名、住所などの国内連絡先事項」を登記申請書に記載する必要があります。

「国内連絡先となる者」とは、親族や不動産関連業者、司法書士などが想定され、個人か法人かは問われません。
登記申請書には、「国内連絡先」として、国内連絡先となる者の氏名(社名)や住所などを記載することになります。

また、登記申請書とあわせて、国内連絡先となる者の「国内連絡先事項を証する情報」と「国内連絡先となる者の承諾書」も添付する必要があります。
「国内連絡先事項を証する情報」とは、国内連絡先となる者の氏名や住所が記載された印鑑証明書、住民票の写し、戸籍の附票などのことです。
もし、国内連絡先となる者が法人であれば、会社の所在地などが記載されたホームページをプリントアウトし、署名や押印をした書類を「国内連絡先事項を証する情報」とすることも可能です。

「国内連絡先となる者の承諾書」に関しては、法務省のホームページで公開している記載例を参考に、国内連絡先となる者が作成し、実印を押してもらったうえで、その者の印鑑証明書と共に提出しましょう。
国内連絡先となる者がいない場合は、その旨を上申書として添付し、「国内連絡先なし」として登記します。

近年は国際化によって、海外に移住する人も増えてきました。
2023年時点で日本国外に住む海外居住邦人の数は129万3,565人です。
海外居住者が登記名義人になるケースは、本人に連絡が取れなくなる可能性があることから、法改正によって国内連絡先となる者の連絡先を記載する必要が出てきたということです。

ほかにも改正によって、外国人を登記名義人とする登記では、新たにローマ字氏名(氏名の表音をアルファベット表記したもの)を登記申請書に記載しなければいけません。
その際には、一部の例外を除いてローマ字氏名を証する情報も添付する必要があります。

不動産登記法の改正によって、登記申請書に記載しなければならない申請情報が増えました。
提出しなければならない申請情報はケースによって異なるため、司法書士などの専門家によく確認してもらいましょう。


※本記事の記載内容は、2024年11月現在の法令・情報等に基づいています。