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雇止めなど、有期労働契約のトラブルを防ぐには?

16.09.16
ビジネス【人的資源】
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インターネットやスマートフォンは、人々の生活はもちろん、働き方にも多大な変化をもたらしました。

ステレオタイプな会社人間は減っています。

正社員でない働き方を選ぶ人も増えています。
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正社員は雇用保障されている反面、年功的賃金、頻繁な異動、地域的転勤、長時間労働など、束縛が多いものです。

有期雇用では、契約上の仕事がはっきりしており、賃金が正社員より優遇されている場合もあります。

しかし、雇用形態の「正規」と「非正規」の間には、不公平感が根底にあります。有期労働契約の雇止めが問題になるのは、正規と比べて非正規の待遇があまりにも不利であるからです。


<臨時的雇用に生じる社会的不公平感>
企業は、押し寄せる仕事に日々対処しています。

それもなるべくコストのかからない方法が求められます。必要な労働力の変動に対しては、臨時的雇用で調整するのが常でした。臨時かつ短期であるために、その補償として賃金が高いのならば、理屈に合っています。

しかし、実際はよほどの人手不足か特殊技能でない限り、臨時的雇用の賃金が高いということはありません。そこで、不公平感が生まれるのです。社会的不公平感と言っていいでしょう。


<公平へ向けての有期契約とは>
有期労働契約であれば、雇止めがついて回ります。そのときに問題にならないための条件を考えましょう。

第一に、有期契約者の待遇が十分によいことです。それこそ、正社員が転向したくなるくらいの水準です。

第二に、有期契約者の仕事がまったくの臨時的な内容で、誰が見ても仕事の有無がわかることです。

第三に、有期契約者の仕事内容が明確に正社員と異なることです。正社員では賄えないような特殊で専門性の高い仕事を、有期契約者にお願いするのです。


<不公平感を抱きやすい職場における解決法の事例>
ある私立大学でも、正規教職員を支えるため、非常勤教職員が多数働いています。教育職だけでなく、事務、研究、医療、技術、メンテナンス、ショップ、対人サービスなどの要員を非常勤という身分で雇っています。


ここで重要なことは、どのような職種であっても、非常勤の期間を3年と決めている点です。例外はありません。いくら優秀な人材でも、期限は3年です。期間を置いても二度と雇いません。

現場からしたら、有能な人材を3年で切るのはもったいないことです。しかし、大学の規定では例外を認めません。「期間は3年」という厳格なルールがあるおかげで、当該校では雇止め問題が発生していません。


有期労働契約であっても、期間が不確定なままあいまいに更新され、企業側の都合で突然雇止めになるのが、日本の労働市場の現状です。労働契約が「有期」であるならば、その期間を明確に決めて例外を認めないことが、雇止めによるトラブルを防ぐ方法の選択肢のひとつになるのではないでしょうか。


企業成長のための人的資源熟考


●プロフィール●
佐野陽子 さの・ようこ
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。


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