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「酔っ払って逮捕? この不届き者!」という理由で懲戒解雇は認められる?

15.06.14
ビジネス【労働法】
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酩酊状態で帰宅途中にフラフラと他人の家に上がりこんで、住居侵入罪で逮捕されてしまった従業員。これを聞きつけた酔っ払いの勤める会社の社長様。「何ていう不届き者、そんな社員はうちにはいらない!懲戒解雇だ!」

酔っぱらっての住居侵入罪は業務上の行為ではありません。社員の私生活に対して会社が干渉して懲戒解雇を行うことは認められるのでしょうか?
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懲戒解雇を仕事上の不祥事に対する処分ととらえると、私生活に対して懲戒解雇は認められないことになります。

しかし、会社は利益を追求する法人です。ビジネスは信用で成り立っているわけで、私生活であろうと問題を起こして会社の名誉に傷つけてしまった場合は経営に影響がでます。そう考えると、懲戒解雇は認められてもよさそうです。

労働者の立場を考えれば会社の自由な判断で解雇を認めるわけにはいきませんから、就業規則の懲戒解雇事由に該当していることが懲戒解雇の有効性の判断基準となります。

そこで、多くの会社は就業規則に懲戒解雇事由を列挙してあらゆる場合に備えています。たいてい「私生活上の非違行為によって、会社の名誉信用を損ない、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為」という項目が入っているものです。

しかし、名誉信用を損なったかどうか、業務に重大な悪影響を及ぼしたかどうかの判断は裁判に委ねられます。

上記の酔っぱらって住居侵入をしたケースでは、解雇無効の判決が出ています。その理由として3つ挙げられています。

1.会社の組織、業務等に関係のない私生活上の行為だった。
2.この者が受けた刑罰が罰金2,500円の程度だった。
3.この者の職務上の地位が工員で、指導的立場ではなかった。
「横浜ゴム事件・最3小昭和45年7月28日民集24巻7号1220頁」

もし刑罰が重かったら? 職務上の地位が高い者が行った行為なら? 結果は違ってくる可能性があります。

このように懲戒解雇に該当するかどうかは、実質的にどうであったかが慎重に審議されます。その行為の性質、会社の事業内容、会社の規模、従業員の地位、職種等を総合的に判断が行われます。

実際、懲戒解雇が有効とされた判例も少なくないです。会社は懲戒解雇事由に該当すると判断しても、解雇無効の判決が出る可能性があるリスクを十分に認識しておくことが重要です。


判例でカンタン理解・労働法


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