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「自分で経験する」ことで言葉の重みが増す

15.05.31
ビジネス【人的資源】
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政治家は言葉で人を惹きつけるが、言葉で身を滅ぼすこともある。組織の大小に関わらず、いつ、どこで、どんなメッセージを発信するのかは、リーダーの重要な資質だ。

野球やサッカーの組織が停滞する原因のひとつに、監督の指示の“軽さ”がある。「こういうケースではどうしたらいいですか?」といった部下の質問に、論理的かつ明確な答えを用意できないと、部下の気持ちは離れていってしまう。「自分で考えろ」などと突き放すのは、平成の時代には通用しない。

そのうえで、言葉に「重み」がなければいけない。では、「重み」とは何だろうか。
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「その人が実際に経験したことと、頭に詰め込んだ知識では、聞き手の受け止めかたは変わります」

こう話すのは、陸上ハンマー投げの室伏広治さんである。五輪と世界選手権で金メダルを獲得した彼は、スポーツを多角的に考察する研究者でもある。

「スピーチでも感覚的に訴える内容は、人の心を打ちます。ですから、自分で経験すること、実感することは大事です」

組織全体に注意を払うリーダーが、部下の仕事を「自分で経験する」のは難しいかもしれない。ただ、詰め込んだ知識に寄りかかっていると、「うまくいかなかった場合はどうするんですか?」と言った疑問を、柔軟にさばけない可能性がある。

だとすれば、実際に経験した部下を介して、組織内の疑問をクリアにしていくのがベターだろう。もちろん、上司自らが経験することも大切だ。ときにはデスクから離れて現場へ飛び出していくことで、部下の思いに寄り添うことができるだろう。言葉に「重み」が増すはずだ。


スポーツの視点からみる人的資源


[プロフィール]
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。

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