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免税事業者が『インボイス制度』に対応したほうがいい場合とは?

24.05.07
ビジネス【税務・会計】
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2023年10月1日のスタートから半年以上が経った『インボイス制度』は、売手である適格請求書発行事業者の発行した『適格請求書(インボイス)』によって、買手の課税事業者は仕入税額控除の適用を受けることができるという制度です。
実は、インボイス制度の影響を受けないとされている業種でも、状況によっては適格請求書発行事業者の登録を行なったほうがいいケースもあります。
免税事業者が登録をするか否かを判断するためのポイントについて説明します。
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一般の消費者が顧客であれば登録は不要!?

インボイス制度に関係するのは、消費税の免税事業者と課税事業者です。
報酬に消費税が含まれていない会社員やアルバイトなどの給与所得者は、影響を受けることがありません。

また、適格請求書発行事業者として登録せず、免税事業者のままであっても、大きな影響を受けない業種があります。
具体的には、美容室や理髪店、サロン、マッサージ店、スポーツジム、学習塾や英会話教室など、一般の消費者が顧客の業種です。
一般の消費者は、みずからが購入した商品やサービスについて直接消費税を納める必要がなく、仕入税額控除の適用を受けることもありません。
したがって、一般の消費者を顧客にしている業種は、適格請求書発行事業者として登録せずに、免税事業者のままで問題ないということです。

ただし、一般消費者向けの業種でも、不特定かつ多数の顧客を相手に商品やサービスを提供する業種は、その限りではありません。
具体的には、飲食店業、小売業、写真業、旅行業、駐車場業、タクシー業などの業種です。
これらの業種は、顧客の個人事業主や会社員が仕事で商品やサービスを購入した際に、その代金を経費として計上する必要があるからです。
たとえば、会社員が取引先に移動する目的でタクシーを利用した際に、タクシー業者から発行された領収書が適格請求書ではない場合、会社側は会社員から経費精算のためにその領収書を渡されても、仕入税額を控除することができません。

そこで、このように不特定多数が利用する業種では、書類を受け取る人や会社の名前の記載がないレシートや領収書を『適格簡易請求書(簡易インボイス)』として交付することが認められています。

また、一般の消費者が顧客の業種以外にも、取引先や顧客が免税事業者、もしくは簡易課税事業者の場合もインボイス制度の影響は受けません。
免税事業者は仕入税額控除の適用を受ける必要がありませんし、簡易課税事業者は売上に対して事業区分に応じた『みなし仕入率』をかけて納める消費税を算出するため、仕入の領収書や請求書が適格請求書かどうかは関係しないからです。

免税事業者のままでも取引は継続する?

インボイス制度の導入直前には、「個人事業主が適格請求書発行事業者として登録せずに免税事業者のままでいると、取引先から取引を中断されるリスクがあるのではないか?」という声も上がりました。
買手である取引先からしてみれば、免税事業者との取引は仕入税額の控除が受けられなくなり、いわゆる「損をしてしまう」ことになるため、同じ仕事であれば適格請求書を発行できる課税事業者へ発注するほうがメリットになるからです。

一方、高い専門性を持つデザイナーや職人、イラストレーターやエンジニアなどは、取引先が同等のスキルを有した課税事業者を探して発注するほうがコストも工数もかかってしまいます。
この場合は、個人事業主が免税事業者のままでも、継続して取引が行われる可能性は高いでしょう。

1年間の課税売上が1,000万円を超えている場合などは、すでに課税事業者となっているため、消費税の納付義務が発生します。
適格請求書発行事業者の登録をしても負担する税額が変わらず、新たな負担は生じません。

免税事業者が適格請求書発行事業者として登録することは、取引先の税負担を減らすことにもなります。
また、適格請求書発行事業者となることで、既存の取引先以外にも新たな販路が開拓できるといったメリットを享受できる可能性もありえます。
取引先が課税事業者で自身が免税事業者の場合、取引先と良好な関係性を築けているか、もしくは、これから築いていくつもりがあるのかといった視点も、適格請求書発行事業者として登録するか否かの大きな判断材料となるでしょう。


※本記事の記載内容は、2024年5月現在の法令・情報等に基づいています。