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個人事業主が『商号登記』を行うメリットと手続き方法

24.04.02
業種別【不動産業(登記)】
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法人を設立する場合は、会社法に基づき、法務局で『商業・法人登記』を行う必要があります。
個人事業主であれば法人のように登記を行う義務はありませんが、自主的に『商号登記』を行うことが可能です。
商号登記は義務ではありませんが、登記申請をしておくことで、個人事業主の『屋号』が一般に広く公開され、社会的な信用を得ることができます。
今回は商号登記の内容と、手続きの方法について説明します。
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法的に認められた会社名や屋号は『商号』

法人が行う『商業・法人登記』は、会社などに関する商号や所在地、代表者の氏名などを法務局に登録し、一般に公開するためのものです。
この登記をすることで、法的にも『法人格』を得て法人として認められると同時に、信用維持を図ることができ、取引先である相手方の会社も、安心して取引を行うことができます。

一方、個人事業主として開業する場合は、所得税法に基づき、事業を始めた日から1カ月以内に所轄の税務署に開業届を提出する必要があります。
開業届の提出は個人事業主の義務ですが、提出しなかったとしても法的な罰則はありません。
ただし、提出しないと確定申告の際に青色申告の特別控除や補助金が受けられない場合があるなどのデメリットがあるため、基本的には開業のタイミングで提出するようにしましょう。

また、個人事業主として開業するのであれば、開業届の提出のほかに、『商号登記』の申請を行うことをおすすめします。
商号登記は義務ではありませんが、個人事業主にとって登記することにより、いくつかのメリットがあります。

『商号』とは、法的に認められた『会社名』や『屋号』のことを指します。
法人を示す名称である会社名はすべて商号で、個人事業主が事業を行ううえで名乗ることのできる店舗の名前や事務所の名称である屋号も、商号に含まれます。

個人事業主が提出する開業届には、屋号を記入する欄があります。
屋号の記入は必須ではありませんが、必要に応じて記入することで、その屋号を名乗ることができます。
屋号があれば、個人の名前で事業を行うよりも不特定多数の顧客やクライアントにアピールしやすくなりますし、屋号付きの口座を開設することもできます。
さらに、法人化の際にその屋号を会社名にすることで、それまでに行なった過去の仕事の実績を引き継げるというメリットもあります。

商号登記をするメリットと手続きのポイント

これまでは類似商号規制により、同じ市区町村内で、かつ同じ営業を行う第三者と、類似を含め同じ商号を登記することはできませんでした。
そのため、競合をはじめとする第三者に近隣地域で同一または類似の屋号を使われないようにする目的で、商号の登記を行う意義がありました。

しかし、2006年の会社法改正で類似商号規制が撤廃されたことにより、ほかの人がすでに登記した商号と同一であっても、同一の本店所在地でなければ、登記することが可能となりました。
たとえば、株式会社A商店という屋号を登記したい場合、すでに第三者の株式会社A商店が登記されている住所と同じ住所では登記できませんが、住所が違えば登記することができます。
また、A商店という屋号と、株式会社A商店という商号は、同一商号でないので同一本店所在地であっても登記することが可能となります。
なお、類似商号規制は撤廃されたものの、不正の目的での、ほかの商号と誤認させるおそれのある名称や商号の使用は会社法や商法等によって規制されています。

商号登記をしておけば、商号(屋号)や営業所の住所、事業主の氏名や住所、営業の種類などが、一般に公開されるようになります。
法人登記と同様に、実際に事業を行なっていることを対外的に示せるため、取引先やクライアントの信頼を獲得しやすいというメリットがあります。

自分でつけた屋号を、法人化の際にも引き続き会社名として使えれば、これまで蓄積した実績や信頼、対外的な印象も含めそのまま引き継げます。
今後、法人化を視野に入れている個人事業主の方は、屋号の商号登記を行なっておけば、法人化をしてもスムーズに事業を継続できるでしょう。

個人事業主が商号登記を行うには、個人の実印、その実印の印鑑証明、印鑑届出書と商号登記申請書などが必要になります。
印鑑登録済みの実印を、申請前に用意しておきましょう。
商号登記申請書は、商号や営業所の住所、登記の事由、営業の種類、登記記録に関する事項などを記載する必要があります。
特に決まったフォーマットがないので、法務局のサンプルを参考にしながら自分で作成するか、インターネット上で公開されているひな形を使用するとよいでしょう。
ちなみに、商号登記の申請には登録免許税として3万円が必要です。

商号登記はほかの登記申請よりも比較的手続きが容易に行えます。
今後、継続して屋号を使用していく予定がある、将来的に法人化を考えているという個人事業主の方は、申請を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2024年4月現在の法令・情報等に基づいています。