有限会社 サステイナブル・デザイン

美容サロンにおける『訪日外国人客』の集客と対応ガイド

24.03.05
業種別【美容業】
dummy
日本政府観光局の調査によると、2023年の訪日外国人旅行者数は約2,506万人に達したことがわかりました。
この結果は、2022年の約383万人と比べると、大幅に増加したことになります。
訪日外国人旅行客が増え続けるなかで、美容業界にもインバウンド消費の波が訪れようとしています。
しかし、まだまだ海外からのお客に対応できるサロンは多くありません。
訪日のお客を取りこぼさず、満足してもらうための取り組みについて考えていきます。
dummy

美容サービスに対してニーズが高まっている

2023年の訪日外国人旅行者数はコロナ前の8割にまで回復し、旅行中の消費額については、コロナ禍前を超えて、過去最高の計5兆2,923億円を記録しました。
この背景には円安や物価上昇などの影響もありますが、外国人旅行客の滞在日数が増えたことも要因の一つとしてあげられます。

外国人旅行客の平均宿泊数は、2019年は8.8泊でしたが、2023年には1.4泊伸びて10.2泊となりました。
滞在が長期化した理由については、観光庁の髙橋一郎長官が「コロナ禍が明け、海外に出かけてしっかり滞在し、その国の自然や文化、人を見たり経験したり、交流して、深く知りたいという気持ちがあったのではないか」と推察しています。

外国人旅行客の滞在の長期化によって、発生するのが美容サービスへのニーズです。
10日を超える長期滞在ともなれば、旅行中であっても、美容室やネイルサロン、エステなどに行って、きれいになりたいという人は少なくありません。

観光庁による『訪日外国人の消費動向(2023年7-9月期)』の費目別購入率を見てみても、菓子類や食料品・飲料、衣類などに次いで、「化粧品・香水」がランクインするなど、訪日外国人旅行客の美容への関心は高いといえます。
また、インバウンド消費自体が、モノ消費からコト消費に移行したことも後押しとなり、近年は美容サロンに外国人旅行客が足を運ぶことも多くなりました。

こうしたインバウンド景気のなかで外国人旅行客の集客を図るためには、海外の人も来店しやすいように、さまざまな準備をしておかなければいけません。
その一つが、看板やホームページ、メニュー表、予約・問い合わせなどの多言語化対応です。
日本語のほかに複数の外国語が併記してあると、海外からのお客は非常に利用しやすくなります。
ちなみに、国・地域別の消費額の比率は、台湾が14.7%でトップ、以下、14.4%の中国、14.1%の韓国、11.5%のアメリカと続きます。
英語圏の国が多いことを考えると、英語表記は必須として、中国語と韓国語も併記しておくことをおすすめします。

集客とお客の来店時に気にしておきたいこと

外国人旅行者を集客するためには、SNSでの発信が欠かせません。
InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなど世界規模で利用者が多いSNSは、日本に訪れた際に行ってみたい場所を検索したり、情報を収集したりするツールとして使われています。
有名な観光地ではない地方の個人商店などでも、SNSで発信することにより、世界中から旅行者が訪れるという現象も起きています。
外国人旅行者が検索するハッシュタグをつけたり、店舗を英語で紹介したりするなどの工夫をしながら、SNSの運用を進めていきましょう。

また、海外の口コミサイトにも積極的に登録しておくのが望ましいです。
中国最大級の口コミサイト『大衆点評』には、日本の店舗も登録することができ、自店舗を登録しておけば、中国人旅行者の集客を期待することができます。
ほかにも、英語圏の旅行者に効果的な『Yelp(イェルプ)』や、日本でも有名な『トリップアドバイザー』なども集客に活用できます。

さらに、実際に海外のお客が来店した際には、言葉や文化・習慣の違いがネックになることもあるため、多言語対応の翻訳アプリやデバイス、イメージを伝えるための写真アプリなどを駆使しながら、適切なコミュニケーションを取ることが重要です。

決算方法についても、クレジットカードに対応している場合は、国際ブランドのVisa、Master、AMEX、JCB、Discover、Dinersのほか、中国発の『銀聯(ぎんれん)カード』も使えるようにしておくことをおすすめします。
銀聯カードは利用者が世界中で急速に増えており、中国人旅行者の利用を想定するのであれば、対応しておきたいクレジットカードの一つです。

日本の美容サロンにおけるハイレベルな施術、丁寧な接客、清潔な店内は、訪日外国人旅行者から高い評価を得ています。
多言語化から決済方法まで、入念に準備したうえで、おもてなしの心を持ち、海外からのお客を迎えましょう。


※本記事の記載内容は、2024年3月現在の法令・情報等に基づいています。