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身内同士だからといって油断は禁物! 『親族間売買』の注意点

24.02.06
業種別【不動産業(相続)】
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不動産の『親族間売買』とは、文字通り、親族同士が売主、買主となって不動産を売買することをいいます。
「気心が知れた身内間の取引だから安心」と思いきや、親族間売買ならではのトラブルもあります。
親族間売買においては、そのメリット、デメリットを理解し、賢く利用することが大切です。
今回は、不動産を親族間売買する場合の注意点をはじめ、メリットやデメリットについて解説します。
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話が進みやすいのは大きなメリット

まずは、不動産の親族間売買のメリットを確認していきましょう。
不動産の親族間売買には、いくつかのメリットがあります。

まず、身内同士の売買においては、取引の相手方や、売買の対象となる不動産について十分な情報が得られていることが多く、双方の安心感が高いといえます。
また、価格や支払方法、引渡時期など、売買条件を柔軟に取り決めることができます。
なお、価格については、親族間取引では一般の売買に比べて売主と買主の利害がより一致していることも多く、相場より低い価格で売買することも可能です。

また、相続対策として活用できるのも大きなメリットです。
不動産は現金などと異なり、単純に分割することがむずかしい、評価額が変動する、当事者の思い入れが強いなどの事情により、被相続人の死後、相続トラブルが起こりやすいといわれています。
そこで、たとえば被相続人となる親が健在のうちに、相続人となる子どもたちのうちの一人に適正価格で不動産を売却しておけば、ほかの相続人の納得も得やすく、相続トラブルの回避につながります。

贈与が疑われるなどのデメリットも多い

不動産の親族間売買はメリットも多い一方で、親族間売買特有のデメリットもあります。
まず、売買価格によっては、『みなし贈与』を疑われやすいという点があります。
いくら身内同士で柔軟に売買価格を決められるといっても、それが相場よりあまりにも低額の場合、相続税対策として悪用されることを懸念した税務署から、みなし贈与を疑われる可能性があります。
低額での親族間売買がみなし贈与と判断されると、通常の売買価格との差額が贈与とみなされ、契約上は売買であるにもかかわらず、買主に贈与税が課税されることがあります。
たとえば、親が子に時価5,000万円の不動産を1,000万円で売却し、その差額4,000万円がみなし贈与と判断されると、贈与税は1,530万円となり(子が未成年の場合は1,739万5,000円)、取得価格1,000万円を大幅に超えてしまいます。

次に、親族間売買は、税制上の特例控除等の適用対象外とされることがあります。
たとえば、親子間、夫婦間、同一生計の親族間の売買では、売主に『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例』や、軽減税率の特例等が適用されません。
ほかにも適用除外とされる特例がありますので、事前に確認しましょう。

ほかにも、親族間売買では、住宅ローンが利用しにくいというデメリットもあります。
住宅ローンを利用するためには、多くの書類を不備なく揃えることが必要ですが、親族間売買では、売買契約書を取り交わしていなかったり、重要事項説明書がなかったりする場合もあります。
また、「みなし贈与」が疑われる、相続トラブルに巻き込まれる、融資金が住宅取得目的以外に利用されるなどの問題が発生するおそれがあるため、親族間売買では金融機関が融資に慎重になり、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向が見られます。

親族間売買のトラブルを回避するためには

スムーズに不動産の親族間売買を行うために、次の点に注意しながら取引を進めていきましょう。
まず、親族間売買でも身内だからと過信せず、必ず売買契約書を作成することが重要です。
売買契約書の存在は、当事者間や、ほかの相続人といった第三者とのトラブル防止に役立つだけではなく、税務署に対しても、不動産を贈与したのではなく、売買したことの証拠の一つとなります。

次に、相続対策として親が子どもたちのうちの一人に親族間売買で不動産を売却するような場合は、事前にほかの子どもたちの同意も得ておきましょう。
相続できると期待していた親の不動産が、知らないうちにほかの兄弟の単独所有になっていれば、トラブルになるのは当然です。

また、みなし贈与と判断されないようにするためにも、売買は適正価格で行いましょう。
適正価格の決定方法については、国税庁も特定の基準を示しているわけではありません。
ただ、一般的には、不動産会社による査定額、不動産鑑定士の鑑定価格等を用いるほか、路線価が地価公示価格等の80%とされていることから、土地については路線価を1.25倍(80%で割り戻し)して、適正価格とすることも実務上は行われています。

このように、不動産の親族間売買においては、デメリットを十分に理解し回避するために必要な対策を取ることが、メリットの最大化につながります。
適正価格の算出や売買に必要な書類の準備、融資を受ける金融機関への説明等、不動産の親族間売買には、さまざまな準備と手続きがあり、専門的な知識が必要となります。
トラブルを回避するためにも、親族間売買の話が出た時点で専門家に相談することをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2024年2月現在の法令・情報等に基づいています。