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交通事故で入院! もしもの場合に役立つ慰謝料算出基準

23.12.12
ビジネス【法律豆知識】
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警察庁の発表によると、全国における一年間の交通事故による死者数は、平成8年頃から1万人を割るようになり、年々減少しています。
死者数が減少しているのはよいことですが、今なお死傷を伴う重大事故は発生しており、令和3年中の交通事故発生件数は一年間で30万件を超えました。
そして、不幸にも交通事故に遭ってしまった場合、頭を悩ませるのが慰謝料の問題です。
今回は、交通事故で怪我を負い、通院や入院となったとき、慰謝料はどのように請求すればよいのかを説明します。
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交通事故における『慰謝料』は損害賠償の一種

交通事故に遭ってしまった場合、色々な種類の損害が生じ得ます。
たとえば、
治療費:医者に治療してもらうなどして病院に支払ったお金
入院費:入院した際に病院に支払ったお金
交通費:入通院等に伴い生じた交通費
休業損害:交通事故の影響で仕事ができなかったことによりこうむった損害の補償
物的損害:こちらが身に着けていた物やこちらの車両など、物が壊れたことによる損害、いわゆる物損の補償
逸失利益:後遺症が残った結果、将来得られるはずの収益を得られなくなってしまったことに伴う損害の補償

などです。
慰謝料とはこれら損害賠償の一種であり、「精神的苦痛を慰謝する(慰める)ための賠償金」などといわれます。

慰謝料はさらに、以下のように分類されます。
入通院慰謝料:怪我の治療のため、入院・通院したことに伴う慰謝料
後遺症慰謝料:後遺症が生じてしまったことに伴う慰謝料
死亡慰謝料:死亡したことに伴う慰謝料

算定基準は3種類! 慰謝料の金額の決まり方

慰謝料は、精神的苦痛を慰謝する(慰める)ための賠償金なので、本来であれば、人それぞれ異なるものなのかもしれません。
同じ事故・同じ程度の怪我でも、人によって、「10万円」が相当だと考える人もいれば、「1,000万円」が相当だと考える人もいるでしょう。

しかし、それではなかなか解決することができず、法的義務として認められる「賠償すべき損害の範囲」は、ある程度の相当な範囲に限られます。
また、これまでに起きた数多の交通事故案件(訴訟案件等)を参考に、交通事故における慰謝料はある程度基準化されています。

そのなかで入通院慰謝料については、入院期間および通院期間を中心に、慰謝料の額を決めていくというのが一般的です。
そのため、事故に遭った被害者としては、まず「必要な範囲で、十分に入院・通院する」ということが重要です。
本来であればより長期の入院・通院が必要であるにもかかわらず、無理をして退院したり、通院を止めてしまったりした場合には、本来受けるべき慰謝料よりも低い額の慰謝料に留まってしまうおそれがあります。

交通事故による怪我の治療の多くは、入院をした後、ある程度回復したタイミングで退院をし、必要に応じて通院治療を行った後、どこかのタイミングで治療・通院が終わるという流れになります。一般的には、治癒(完治)するか、いわゆる症状固定になった(後遺症になった)ところで、治療のための通院が終わります。
ほとんどの場合、治療のための通院が終わった段階で正確な入院期間および通院期間がわかるので、それまでの入通院期間を鑑みて、慰謝料を請求することになります。

なお、入院中や通院中に、慰謝料の一部を請求するということもあり得ます。
その際は、当該慰謝料が、あくまで「慰謝料の一部」であることをよく確認し、誤って「これ以上は一切請求しない」といった書面に署名押印しないよう注意が必要です。

入通院慰謝料の計算方法は、慰謝料の『算定基準』によって異なります。
算定基準には、事故の損害を最低限度補償する『自賠責基準』、各保険会社が独自に定めた『任意保険基準』、弁護士介入のもと交渉・訴訟を行う『裁判(所)基準』の3種類があり、使用した基準により慰謝料の金額は大きく変わります。
任意保険の基準は自賠責基準に多少上乗せした程度の金額で、もっとも高額になるのが裁判(所)基準で計算した慰謝料といわれています。

交通事故による損害は、治療が終わって身体が回復した後や、社会復帰した後など、想定外なところにも影響することがあります。
もしも交通事故に遭ってしまった場合は、裁判(所)基準を元に相手側と交渉できるよう、弁護士や専門家に相談したほうがよいといえるでしょう。


※本記事の記載内容は、2023年12月現在の法令・情報等に基づいています。