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福利厚生と節税になる養老保険の『ハーフタックスプラン』とは?

23.07.11
ビジネス【税務・会計】
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2023年2月、金融庁により行き過ぎた『節税保険』を販売していた保険会社に業務改善命令が出されました。
いわゆる節税保険とは解約返礼率が高く、企業が毎月の保険料を『損金(経費)』として税務処理できる、節税を目的とした法人用の保険のことを指します。
節税保険は、節税効果を強調するあまりに、保険本来の趣旨から逸脱したような営業活動が過熱しやすいことから、金融庁がたびたび問題視してきました。
そのようななか注目を集めているのが生命保険の一つである養老保険の『ハーフタックスプラン』です。
節税効果があり、従業員の福利厚生にもなる養老保険のハーフタックスプランについて知っておきましょう。
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リスクに備えつつ節税にもなる養老保険とは

法人が加入する法人保険とは、本来は経営者が万が一のリスクに備えるために加入するものであり、節税を目的にするものではありません。
そのため、金融庁や国税庁などは、これまで節税効果をあおるような節税保険に対する規制を強化してきました。
一方で、保険本来の目的であるさまざまなリスクに備えながら、節税効果もある法人向け保険も存在します。
それが、養老保険のハーフタックスプランです。

では、養老保険とはどのような保険なのでしょうか。
養老保険とは、その名の通り、「老後を養う」ことを目的とした生命保険のことで、満期になれば満期保険金が支払われ、満期までに死亡した場合は死亡保険金が支払われます。
法人向けの養老保険の場合、法人(企業)が保険会社と契約し、役員や従業員が被保険者となります。
この法人向け養老保険には、死亡保険金と満期保険金の受取人が誰になるかによって、いくつかのプランが考えられます。
そのなかでも、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族、満期保険金の受取人が法人のプランのことを『ハーフタックスプラン』、もしくは『福利厚生プラン』などと呼びます。

このハーフタックスプランは、前述したとおり死亡保険金の受取人が被保険者の遺族となっているため、その保険料は福利厚生目的のための支払いとみなされます。
そのため、支払った保険料の2分の1は損金として計上でき、節税効果が見込めます(ただし、損金計上にはいくつか条件があります)。
残りの2分の1は積立金として会社の資産に計上されます。

この養老保険のハーフタックスプランは、満期保険金の受取人が法人となっていることにも意味があります。
もし満期保険金の受取人を法人ではなく、役員や従業員などの個人にしておくと、どうなるのでしょうか。
保険料を企業が支払っているため、個人を満期保険金の受取人にしている場合は、満期保険金は給与の現物支給とみなされ、課税対象となります。
その場合は、保険料の2分の1を損金として計上することができません。

ハーフタックスプランのメリットと加入条件

ハーフタックスプランは、従業員の万が一に備えた生命保険(死亡保障)としつつ、満期保険金を従業員の退職金などの財源に充てることができるため、合理的に従業員の退職金などを積み立てできるというメリットがあります。
満期保険金は法人が受け取ることで、その保険金から保険積立金(既払保険料)を差し引いた金額は『益金』となり、『雑収入』として処理します。
なお、ハーフタックスプランは、途中で解約した場合でも解約返戻金を受け取ることはできますが、満期保険金と同様に受取人を法人にしていないと、節税効果が得られないので注意が必要です。

ハーフタックスプランの加入にはいくつか条件があり、原則として全従業員の加入が必要となります。
全従業員とは、正社員だけでなくパート、アルバイトを含めた、雇用しているすべての従業員を指します。
なお、役員の加入は必須ではないとされています。
ただし、ハーフタックスプランはあくまで従業員の福利厚生を目的にしているため、役員だけの企業や、従業員の大部分が同族関係者などの場合は、利用できないことがあります。

福利厚生と節税の2つの性質を持つ法人向け養老保険のハーフタックスプランは、保険会社によって条件が異なることもあります。
よく調べ、専門家の意見なども踏まえながら、従業員の福利厚生の一つとして加入するかどうかを検討しましょう。


※本記事の記載内容は、2023年7月現在の法令・情報等に基づいています。