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外資系企業でも労働基準法違反になる? 解雇のルールを確認しよう

23.02.07
ビジネス【労働法】
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2022年11月、アメリカの実業家イーロン・マスク氏が買収したTwitter社は、日本法人を含む全従業員およそ7,500人のうち、半数にあたる約3,700人に解雇通告を行ったことで話題となりました。
日系企業と比較して実力主義や成果主義の強い外資系企業に対し、「結果が伴わなければクビになる」「突然のクビは起こり得る」というイメージを抱いている人も多いでしょう。
今回は、労働基準法における解雇の要件について改めて確認していきます。
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「合理的な理由を欠く」解雇は、無効に

解雇とは、使用者(事業者)からの申し出による一方的な労働契約の終了を指し、俗に『クビ』といわれるものです。
一般的には外資系企業であっても、日本で設立され日本で登記されている法人として存在する限り、日本の労働基準法が適用されます。

労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。
つまり、解雇を通告するには、社会の常識に照らして誰もが「解雇するのは妥当」と納得できる理由がない限り無効となります。

万が一、解雇の正当性について労使間で合意に至らなかった場合、最終的には裁判所で判断されることになります。
その際には、「仕事でミスをする」「勤務態度に問題がある」など、労働者側の落ち度の程度や、その内容や行為が故意的だったのか、会社が被った損害の程度など、さまざまな事情を考慮し、客観的に合理的な理由の有無を判断します。


解雇の種類は3つ。いずれも解雇予告は必要

解雇の種類は、大きく下記の3つに分類されます。

【普通解雇】
いわゆる労働者の債務不履行が主たる理由となる解雇です。その範囲は、企業が従業員に対して期待し想定していた能力を有していない、従業員間で頻繁にトラブルを起こす、社内のルールに従わないなどといった、従業員の能力の欠如などを原因として「客観的に合理的な理由」や「社会通念上相当」である必要があります。
試用期間後の本採用拒否においても同様の理由においては普通解雇に分類されます。

以下で説明する整理解雇や懲戒解雇以外の解雇を指します。

【整理解雇】
整理解雇とは、経営不振などによって人員整理を行う場合の解雇を指します。
整理解雇は従業員個人には非がないため、有効性を判断するうえで下記の4要件を満たす必要があります。
・経営上での人員削減の必要性
・解雇回避努力の履行
・解雇対象となる人選の合理性
・手続きの相当性(対象となる従業員に誠実な説明と協議などが正しく行われているか)

【懲戒解雇】
懲戒解雇とは、懲戒処分としての解雇を指します。
懲戒処分としては最も重く、従業員が社内の秩序を乱す深刻な規律違反をしたり、資金横領や窃盗、重度のハラスメントを行ったなど、企業の名誉や信用を損なう問題行為を起こした場合に実施されます。
懲戒解雇の一種である『論旨解雇』は、功績などを勘案し、退職届を提出させたうえで、労働契約を解約します。
退職届の提出を本人が拒否した場合は懲戒解雇となります。

労働基準法第20条では、解雇を行う場合は、30日前に解雇予告をすることが定められています。
予告を行わずに『即時解雇』する場合は、30日分以上の平均賃金を『解雇予告手当』として支払わなければなりません。
ただし、労働基準監督署から『解雇予告の除外認定』を受けた場合においては、解雇予告または解雇予告手当の支払いが不要となります。
この認定は、会社からの申請に基づいて、「労働者の責に帰すべき事由」を事案ごとに労働基準監督署が判断しますが、その判断基準は、労働基準監督署の通達(昭和23年11月11日基発1637号)によって明らかにされているため、認定を受ける際には、判断基準に基づいて、企業として申請するか否かを検討するのが一般的です。


解雇の条件は就業規則への記載が必須

解雇は従業員に非常に大きな影響を与えます。
そのため、労働基準法では、解雇の種類や処分理由などが労働条件の明示事項や就業規則の記載事項として義務づけられています。
懲戒として最も重い処分となる懲戒解雇の理由は、具体的に限定し列挙することが求められます。
また、使用者の判断という一方的な決定によることのないように、労働契約法第16条や『整理解雇の4要件』といった解雇と判断されるための基準が示されています。

そのほかにも、さまざまな法律に定められている主旨・目的を損なってしまうような解雇を制限したり、不当な取扱いによる解雇を防止するための定めが各法律内において定められており、その内容は以下の通りです。

【労働基準法】
・業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇(解雇制限)
・産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇(解雇制限)
・労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇(不利益取り扱いの禁止)

【労働組合法】
・労働組合の組合員であることを理由とする解雇(不利益取り扱いの禁止)

【男女雇用機会均等法】
・労働者の性別を理由とする解雇(不利益取り扱いの禁止)
・女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇(不利益取り扱いの禁止)

【育児・介護休業法】
・労働者が育児・介護休業などを申し出たこと、または育児・介護休業などをしたことを理由とする解雇(不利益取り扱いの禁止)

このように、労働者保護の観点から、解雇にはさまざま法律の規定があります。
これらを正しく理解したうえで、自社の就業規則や労務管理を今一度見直してはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。