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なぜ遺産分割協議書が重要なのか?

22.11.01
業種別【不動産業(相続)】
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『遺産分割協議書』とは、すべての相続人が参加した遺産分割協議において合意に至った内容をまとめた文書です。
遺産分割協議書は、不動産の相続登記や預貯金・株式等の名義変更手続きをする際に必要となります。
一度作成した遺産分割協議書は、原則として、相続人全員の合意なく内容を変更することはできません。
そのため、あとになって『やはりこの分割方法には納得できない』などと蒸し返されるといった事態を防ぐことができます。
今回はこの『遺産分割協議書』について説明します。
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遺産分割協議書は誰がつくる?

遺産分割協議書は、相続人全員が内容に合意して署名し、各自の実印を押印して作成します。
そして、相続人全員が同じものを各自1通ずつ所持します。
遺産分割協議書を作成した後に内容を変更するには、相続人全員の合意が必要になり、時間も手間もかかりますので、慎重に検討して合意する必要があります。

【遺産分割協議書の書き方】
遺産分割協議書を作成するにあたり、記載が必要な事項は次の通りです。

●亡くなった方(被相続人)の氏名、生年月日、死亡日、本籍地、最終の住所地
●相続人全員が内容に合意し、遺産分割協議が成立したことを示す文言
●相続財産の具体的な内容(不動産の場合は登記簿謄本の内容、預金の場合は銀行名・支店名・預金種別・口座番号)
●遺産分割協議書に記載された以外の相続財産があった場合の分割方法
●遺産分割協議書の作成日
●相続人全員の氏名・住所・実印での押印

遺産分割協議書は決まった様式はありません。
パソコンと手書き、どちらで作成しても有効です。
とはいえ、複数人の相続人分作成する必要があるため、パソコンで作成するほうが手間を省けるでしょう。

ただし、作成するすべての遺産割協議書に相続人の氏名を各々が手書きで記入し、実印を押印する必要があります。


遺産分割のやり直しはできる?

遺産分割協議書が作成され、遺産分割が成立すると、原則として『やり直し』はできません。
一度相続人全員が合意して有効に遺産分割協議を成立させた以上、そう簡単に内容を覆せるようでは、法的安定性を保つことができないからです。

とはいえ、一部、例外的に遺産分割協議のやり直しが認められるケースがあります。
それは、相続人全員が遺産分割のやり直しに納得して同意した場合です。
そもそも遺産分割協議は相続人全員の合意に基づいて成立しているものであるため、全員がその内容を変更することに同意するのであれば、やり直しても特に問題はないということになります。

また、最初の遺産分割協議に問題があった場合にも、やり直しが必要となることがあります。
具体的には、以下のような場合です。

(1)遺産分割協議を取り消せる場合
遺産分割協議の際に、脅されたり騙されたりしたという事情があれば、合意の取消しが可能です。
また、遺産分割協議の前提に重大な勘違い(錯誤)があった場合にも、取り消すことが可能です。

遺産分割協議が取り消されれば、最初に行われた遺産分割協議の効力は失われることになりますので、遺産分割協議のやり直しが必要となります。
なお、取消権は、追認(取り消すことができることを知った上で、その効果を事後的に承認すること)することができる時から5年で時効となりますので、この点はご注意ください。

(2)遺産分割協議が無効な場合
遺産分割が無効であれば、そもそも遺産分割協議が成立していないことになるため、やり直しをする必要があります。

遺産分割協議には、相続人全員の参加が必要になりますので、1人でも参加していなかった場合には、遺産分割協議は無効になります。
また、認知症が進行して意思能力を欠いた相続人が成年後見人を選任せずに遺産分割協議に参加していた場合、親と未成年の子どもが同時に相続人になった場合で、未成年の子どもが特別代理人を選任せずに遺産分割協議に参加していた場合にも、遺産分割協議は無効になります。

このように、極めて稀ではありますが、遺産分割協議をやり直すことも可能ではあります。

ただ、一度成立した遺産分割のやり直しができる場面は限られていますし、やり直すとしても追加の税負担が生じるなどの不利益を被るおそれがあります。
また、やり直しを主張することでほかの相続人とのトラブルに発展してしまう可能性もありますので、慎重に進めていく必要があるでしょう。


※本記事の記載内容は、2022年11月現在の法令・情報等に基づいています。