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『埋蔵文化財包蔵地』とは? 土木工事の手順や注意点を解説

22.11.01
業種別【建設業】
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埋蔵文化財とは、地下に埋まっている文化財、たとえば太古の昔の住居跡や貝塚、土器・石器などの生活道具等、いわゆる『遺跡』のことです。
埋蔵文化財包蔵地とは、こうした文化財が地下に埋蔵された土地のことで、文化庁によると、全国に約46万カ所と、かなりの数が存在します。
しかし、すべての遺跡を現状のまま保存することはできません。
そこで、このような土地で土木工事をする際には、事前に届け出たうえで、調査を行い記録にとどめるなどの対応を取ります。
今回は、埋蔵文化財包蔵地で工事をする際の規制や手続きについて解説します。
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遺跡が見つかった! そのときどうする?

地中深く杭を打ったり、商業施設の地下階をつくろうとしたら、遺跡に当たってしまった。
こうした経験のある事業者は案外多いものです。
日本には長く人が住んできた歴史があり、いまだに地中の奥深くには、多くの遺跡が眠っています。

遺跡が眠っているいわゆる埋蔵文化財包蔵地において、土木工事などの開発事業を行う場合には、都道府県や政令指定都市などの教育委員会に、事前に届出をすることになっています。
また、新たに遺跡を発見した場合にも届出が必要です。
届出がされると、都道府県・政令指定都市などの教育委員会が埋蔵文化財包蔵地の取り扱いについて協議します。
そして、どうしても遺跡を現状のまま保存できない場合に限り、事前に発掘調査を行って遺跡の記録を残すなど、必要な処理を決定します。
これらは『文化財保護法』に定められています。

近年では開発や宅地化が進み、届出の件数も増加傾向にあります。
2021年に文化庁が発表した『埋蔵文化財関係統計資料』によると、2019年度には6万6,346件の『埋蔵文化財包蔵地において土木工事を行うことの届出』がありました。

さて、書類を提出し、発掘調査を行うことになった場合、費用は誰が負担するのでしょうか。
文化庁のWebページでは『その経費については開発事業者に協力を求めています』と表現しています。
つまり、開発を行う側が費用を負担するということです。
ただし、個人が営利目的ではなく住宅を建てる場合などには、国庫補助などの公費により調査費用を負担する制度もあります。

調査費用は、土地の広さや調査の規模、出てきた文化財の価値などによって幅があります。
住宅であっても100万円以上、商業施設のような広い土地を調査する場合には数100万円以上になることもあるようです。

発掘調査の期間は、短くて1~2カ月程度ですが、出土するものが貴重な史料であった場合、1~2年程度の時間を要することもあります。
いずれにせよ遺跡が発見された場合、着工が大幅に遅れたり、開発計画そのものに見直しが入ったりする可能性もあるので、事前調査は早めにしておきましょう。


埋蔵文化財包蔵地かどうかの確認方法は

地域の埋蔵文化財包蔵地をどの機関が管轄しているかは、自治体によって異なります。
通常、市町村の教育委員会が作成する遺跡地図および遺跡台帳において、その区域が明確に表示されています
しかし、遺跡台帳にすべての遺跡が掲載されているとは限らない点には、注意が必要です。
まずは、教育委員会、自治体などに問い合わせをしてみましょう。
たとえば東京都であれば、『東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス』を利用できます。
また、その地域の公立博物館への問い合わせを推奨しているケースもあるようです。

なお、不動産売買にあたって、その土地が埋蔵文化財包蔵地として指定されているときは、売主は買主に対して、『重要事項説明』の一つにその旨を記載し、説明する義務があります。

歴史の古い日本では、いつ、どこから遺跡や文化財が出土するか、わかりません。
開発予定地が埋蔵文化財包蔵地かどうかは、工期や費用に大きく影響を与えるため、注意して、よく調べておきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年11月現在の法令・情報等に基づいています。