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受注が決まったら! 工事説明会のスムーズな開催と進め方

22.08.02
業種別【建設業】
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建築工事の着工前に気を付けておきたいのが、建物の利用者や近隣関係住民とのトラブルです。
騒音や振動、工事車両の出入りなど苦情を受けやすいことから、工事中だけでなく、日照や風通し、プライバシー侵害や電波障害など、建物が建った後に起こる問題もあります。
そこで多くの自治体では条例を制定し、建設主に対して、建築計画に関する標識の設置や、近隣住民への説明会の開催を求めています。
今回は、主に東京都の条例をもとに、説明会の実施について解説します。
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説明義務を負うことになる住民の範囲

ビルやマンションなど中高層建築物を建てる際には、各自治体の条例に従う必要があります。
東京都を例に、どのような条例があるのか見てみましょう。

東京都の条例『中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例』では、原則として、高さが10mを超える中高層建築物を建築する際には、建築主による『建築計画のお知らせ』の標識を設置や、都への標識設置届の提出などが義務づけられています。

逆に高さが10m未満であれば原則として中高層建築物とは見なされませんが、自治体によっては10m未満でも条件によって例外的に中高層建築物に該当することがあります。
東京都では、第一種・第二種低層住居専用地域及び田園住居地域に建築される場合、地上3階建て以上や、軒の高さが7mを超える建築物であれば中高層建築物となり、条例の適用を受けることになります。

標識の設置と並んで重要な建築主の義務に、『近隣関係住民』への説明会の開催があります。

近隣関係住民とは、計画建築物の敷地境界線から、計画建築物の高さを2倍した距離の範囲内にある土地または建築物の権利者及び居住者をいいます。
ただし、電波障害については、計画建築物により影響を著しく受けると認められる者はすべて含まれます。


説明会を開催するタイミングや用意するもの

説明会の目的は建築計画や工事の存在を住民に周知することです。
具体的には、以下の内容について住民に説明します。

●建築物を建てる敷地の形態や広さ、敷地内の建築物の位置、付近の建築物の位置の概要
●建築物の規模や構造、用途など
●建築する際の工期や工法など
●建築工事による危害の防止策
●建築工事に伴い周辺に及ぼす影響とその対策

これらの説明をスムーズに行うためにも、事前に建築物の立体図や配置図、計画の概要書や近隣関係図などを用意し、資料として配ることをおすすめします。

また、説明会は原則として、開催の5日前までに掲示等の方法により参加者に周知する必要があります。
このとき簡単な計画書も添付すると、住民の理解も進むでしょう。

建築主は、知事から説明会等の内容について報告を求められたときは、報告することになっています。

説明会を開く会場は地域の公民館や集会場などのほか、広めの貸し会議室やレンタルスペースなども選択肢に入ります。
開催する時間帯は、週末の夜など多くの人が集まれる時間帯を設定し、長くても2~3時間程度に留めておきましょう。

万が一説明会で住民からの反対を受けたとしても、建築が合法的なものである限りは土地の所有者や施主の権利を保護する観点から、工事が中止に追い込まれることはほとんどありません。

ただし「合法的であるから、問題はない」と押し通すと、工事中のみならず、竣工後の長い年月にわたって禍根を残してしまうこともあります。
どのような態度で質問を受けるかについては、事前にしっかり予行練習しておくとよいでしょう。

たとえば一回の説明会で収拾がつかない場合は、別日に説明会を設定し直し、粘り強く対話を続ける姿勢も必要になるかもしれません。
焦らず、着実に進めていくことです。


※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。