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70歳までの就業機会確保が努力義務化! 改正『高齢者雇用安定法』

20.11.02
業種別【介護業】
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高齢者の雇用に関する事項を定めた『高齢者雇用安定法』の一部が改正され、2021年4月から施行されることになりました。
今回の改正により、企業に対して『70歳までの就業機会の確保』を導入する『努力義務』が課せられます。
高齢者の就業率が高い介護業界において、仕事をすることに意欲的な高齢者を積極的に雇用できるチャンスといえるでしょう。
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現行3つの努力義務の措置が全部で5つに

現在の法律では、65歳までの就業機会の確保が『義務』として課せられており、以下のいずれかの措置をとらなければなりません。

(1)65歳までの定年引き上げ
(2)65歳までの継続雇用制度の導入
(3)定年制の廃止

一方、2021年4月施行の改正法では、各企業が労働者に70歳まで働ける機会を提供できるようにするために、下記の5つのうちいずれかの措置を取ることを『努力義務』として定めました。

(1)70歳までの定年の引き上げ
(2)70歳までの継続雇用制度の導入
(3)定年制の廃止
(4)高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に

A.事業主が自ら実施する社会貢献事業
B.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
に従事できる制度の導入


現行制度よりも選択肢が増えたことにより、高齢者はそれまでよりも多様な働き方ができるようになったといえます。


高齢者の雇用は安全と衛生面の配慮を徹底

厚生労働省の『令和2年版高齢社会白書』によると、65歳を超えても働きたいと考えている人は全体の59%であることがわかりました。
また、深刻な少子高齢化問題を抱える日本において、高齢化率は2036年に33.3%の3人に1人となり、2042年以降は65歳以上人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、2065年には38.4%に達するであろうという見込みも示しています。
就業者の平均年齢が高い介護業界では、働くことに意欲的な高齢者に働く場を与え、元気な高齢者に長く社会生活を送ってもらうという意味でも、シニア層の活用は必要不可欠といえます。
 
その一方、高齢の労働者は『転倒』や『腰痛』等の業務災害の発生率が高く、雇用する介護事業者としては安全衛生管理体制の充実や業務手順等の早急な整備が求められます
また、高齢の労働者は、訪問介護ヘルパーなどを中心に非正規労働者の比率が高く、給与水準も正規雇用者と比較すると低水準になっています。
労働者の就業年齢を70歳まで引き上げるということは、将来的に年金の支給開始時期も繰り上げることになると予想されており、高齢労働者の安定した生活のためには、賃金水準のベースアップも検討しなければならない可能性も出てくるでしょう。

今回の法改正は、将来的な『70歳までの就業機会の確保』の完全義務化を見据えての法制化である可能性が高いといえます。
介護事業所にとっては安全面での配慮や高齢者の賃金体系の整備以外にも、高齢者雇用制度を正しく理解し、今後に向けた準備と対策が必要です。


※本記事の記載内容は、2020年11月現在の法令・情報等に基づいています。