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相次ぐ介護事業所の倒産! 倒産危機を回避するための傾向と対策

20.09.01
業種別【介護業】
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昨今、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、売上不振や人材不足により倒産の危機に追い込まれる企業が増えています。
介護事業も例に漏れず、経営続行を諦める事業者も多いと予想されます。
そこで今回は、そのような事態を防ぐためにも、調査結果を用いた現状の把握と、対策についてお話します。
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倒産する介護事業者の約80%が小規模事業者

高齢化の進展により介護サービスの需要は年々増加しているにもかかわらず、倒産に追い込まれる介護事業者が増え続けています。

東京商工リサーチの調査によると、2020年上半期(1月~6月)の『老人福祉・介護事業者』の倒産件数は58件で、過去最多であった2019年同期の55件を上回り、3年連続で上半期の過去最多を更新しました。

介護事業者の倒産原因では、『販売不振(売上不振)』が35件でトップ、続いて『事業上の失敗』が12件、『運転資金の欠乏』が5件となっています。
介護事業は比較的参入しやすい業種であるため競合事業者が増えやすく、事業者間の競争が激化し、各々の利用者数が伸び悩んでいます
この状況が一番の原因である『売上不振』に繋がっていると考えられます。
また、倒産原因の二番目である『事業上の失敗』は前年同期の4件に比べて大幅に増加しています。
無計画な運営や未熟な運営を要因とした『放漫経営』の倒産が目立ったとされており、特に業歴の浅い事業者が、開業時に準備不足だったことが大きな要因であると指摘されています。

調査によれば倒産する介護事業者の約60%を、従業員10名未満の小規模・零細事業者が占めています。
そして、設立5年未満の比較的業歴の浅い介護事業者が、全体の30%を超えているということが特徴的な傾向として現れています。
小規模事業者では、介護ヘルパーなどの人材を常に確保し続けることが非常に難しく、介護業界の慢性的な人材不足が経営に大きな影響を及ぼしているということがわかる結果となりました。


倒産危機から脱却する、人材と資金の確保

一方、『老人福祉・介護事業』の『新型コロナウイルス関連での倒産』は1件にとどまりました。
これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令中も、政府や自治体は介護サービス事業所に『事業の継続運営』を要請していたことや、厚生労働省が行った『新型コロナウイルスで影響を受けている短期入所介護事業者への加算』『在宅介護サービス事業者への助成金』『介護現場の感染防止にかかる経費の助成』などの支援策により、多くの事業者は、資金繰りの見通しや計画が立てやすくなり、倒産抑制に一定の効果があったことによるものとみられています。

現状では、このような支援策により、何とか事業運営をやり繰りし、倒産せずに踏みとどまっている事業者も多くいることでしょう。
しかし、秋から冬にかけて新型コロナウイルス感染の第2波、第3波が懸念されているため、介護サービスの利用を控える利用者も多く、今後も小規模・零細事業者の経営環境が厳しいことに変わりはありません。
さらに、先に述べた支援金が事業者に行き渡るにはタイムラグがあり、支援金が届く前に資金繰りが持たなくなる事業者が出ることも想定されます。

そのような倒産危機から脱却するためには、緊急事態が今後も続くことを想定して事業運営計画を策定する必要があります
安定した経営維持のためには、やはり『人材確保』と『運営資金の確保』が重要なポイントです。
今一度、国や都道府県からの融資・給付金・助成金、家賃支援制度等がきちんと受給・活用できているかを確認するのもよいかもしれません。
また、オンライン面談などを用いたリモートによる採用活動や、介護記録や介護計画の文書作成業務等のテレワーク化など、感染リスクを減らしながらの業務運営も一定の効果が見込まれています。
人材を確保しながらも経費を削減できるような方法を取り入れ、困難な状況を乗り切りましょう。


※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。