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支給要件が緩和・拡充された『キャリアアップ助成金』とは?

20.05.12
ビジネス【助成金】
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2020年4月から、『パートタイム・有期雇用労働法』と『改正労働者派遣法』が施行されました。
職場では、『同一労働同一賃金』の概念のもと、以前にも増して非正規労働者のキャリアップや処遇改善を求められるようになるでしょう。
そこで今回は、支給要件の緩和や拡充により、さらに活用しやすくなった『キャリアアップ助成金』の概要をお伝えします。
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柔軟になった正社員化後の支給要件

1.正社員化コースの賃金5%要件の緩和
旧要件では、『正社員化後に、有期雇用の際は支給していなかった賞与を支給することで5%上昇』となる一方、有期雇用労働者にも賞与を支給していた場合、正社員化後の賞与の支給時期・支給間隔によっては要件に該当しない可能性がありました。
同一労働同一賃金の中小企業での施行(2021年4月)に向け、諸手当や賞与について見直しを行う企業も多いと思いますが、新要件では(ア)(イ)から選べるという、より柔軟な対応ができるようになりました。

●旧要件
正規雇用等へ転換した際、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金(賞与や諸手当を含む賃金の総額)を比較して、5%以上増額していること
ただし、転換後の基本給や定額で支給されている諸手当を、転換前と比較して低下させていないこと

●新要件
正規雇用等へ転換した際、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金を比較して、以下の(ア)または(イ)のいずれかが5%以上増額していること
(ア)基本給+定額で支給される諸手当(賞与を除く)の総額
(イ)基本給+定額で支給される諸手当+賞与の総額
ただし、転換後の基本給や定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと
 

複数コースの併用も可能

2017年からの労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置(従業員500人以下の企業での労使合意による適用拡大)の導入に伴い、次の3コースの拡充・延長も施行されました。

2.賃金規程等改定コースの拡充
有期雇用労働者等の基本給の賃金規程を見直し、昇給した場合に適用。
●旧要件
(1)すべての賃金規程等を2%以上増額改定した場合、対象労働者数が1人~3人の1事業所当たり9万5,000円を助成(対象労働者数によって助成額は異なる)
(2)一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合、対象労働者数が1人~3人の1事業所当たり4万7,500円を助成(対象労働者数によって助成額は異なる)

さらに、3%以上増額改定した場合に助成額を加算
(1)すべての賃金規定等を改定:1人当たり1万4,250円
(2)一部の賃金規定等を改定:1人当たり7,600円

●新要件
5%以上増額した場合の加算措置を創設
(1)すべての賃金規定等を改定:1人当たり2万3,750円
(2)一部の賃金規定等を改定:1人当たり1万2,350円

3.選択的適用拡大導入時処遇改善コースの拡充
有期雇用労働者等の社会保険適用について取組を実施し、新たに被保険者とした場合に適用されます。

●新要件
・労使合意に基づく任意適用に向けて、保険加入と働き方の見直しを進める取組(外部専門家を活用した保険加入メリットの説明、相談会等を開催することなど)を行った場合、19万円を助成(新設)
・短時間労働者の生産性向上のため、研修制度や評価制度の導入を行った場合、10万円を加算助成

また、労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施する事業主が、被用者保険加入とともに基本給の増額を行う場合の助成において、これまでは3%以上の増額が対象でしたが、2%以上3%未満の増額も対象となりました。

4.短時間労働者労働時間延長コース(経過措置の延長)
有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成される『短時間労働者労働時間延長コース』の経過措置が、令和3年3月31日まで延長されることになりました。

〈週所定労働時間を延長した場合の支給額(一人当たり)〉
1時間~2時間未満……4万7,500円
2時間~3時間未満……9万円
3時間~4時間未満……13万5,000円
4時間~5時間未満……18万円
5時間以上……22万5,000円
※支給申請上限は45人

ちなみに『選択的適用拡大導入時処遇改善コース』と『短時間労働者労働時間延長コース』は併用ができ、次のような受給も可能となります。

・労使合意に基づく社会保険適用拡大に向けての取組を実施→19万円
・研修制度や評価制度の導入→10万円
・週所定労働時間を18時間から21時間とし、時給を1,000円から1,030円(3%)に昇給→一人当たり2.9万円

上記合計金額に、週所定労働時間延長支給額13.5万円を受給することも可能となります。

よりパワーアップしたキャリアアップ助成金を活用して従業員の成長を応援し、さらなる事業の発展を目指してはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。