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どうすればいい? 介護事業所における新型コロナウイルスへの対応

20.03.31
業種別【介護業】
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世界中で感染が拡がり、世界保健機関(WHO)からパンデミック認定された新型コロナウイルス。
その影響は、介護業界にも大きなダメージを与えています。
高齢者や呼吸器疾病のある人が感染すると重篤化する可能性が高いことから、デイサービスや訪問介護事業所等では臨時休業が目立つようになり、介護サービスの事業所では内部での感染者が出た際の対応策が急務となりました。 
このような危機的状況に対し、政府からさまざまな緊急対策が打ち出されています。
介護事業所において想定される新型コロナウイルスへの対応について整理してみましょう。
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安全管理策の周知と休日取得支援の情報共有

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために要請された小中学校等の休校、イベント自粛の時期も長期化。
このパンデミックは、今後の経済にも大きな打撃を与えることが予測されています。
感染による被害を防ぎ、助成金の制度を理解して事業所運営の損害を最小限に抑える対策が求められます。

【事業所の方針と安全管理策の周知】
介護事業所ではスタッフと利用者の双方に対する安全管理措置が必要となります。
感染防止のために事業所として、どのように考え、どのように対応していくのか基本的な方針を周知し、実際にどのような安全管理策を講じていくのかをスタッフと共有しましょう。

<安全管理策としての主な検討事項>
・マスクの着用と使用したマスクの処理方法、手洗い、アルコール消毒の徹底と在庫の確保。
・家族の面会制限や手洗い消毒等の実施のお願い、イベントの延期。
・サービス利用者の日々の健康チェック、その家族の健康状況等の相互報告。 
・緊急時マニュアルの策定、社内の問い合わせ窓口の取り決め。
・スタッフの時差出勤、公共交通機関の変更などによる感染予防策。 
・スタッフを休ませる場合の措置(有給・無給、期間など)。

【小学校・幼稚園の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援】
新型コロナウイルス感染防止のための小学校等の臨時休校に伴い、仕事を休んだ保護者の賃金を補償する助成金の受付が3月18日から始まりました。
介護事業所は共働きの女性スタッフが比較的多い業種なので、対象となる人が多数いると思われます。
助成金の制度は手続きが複雑で混乱を招く恐れがあるため、申請方法などの丁寧な説明をし、情報を共有しましょう。
主な要件は下記の通りとなります。

<新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金>
・雇用保険の加入、非加入を問わず小学生までの子どもを持つ保護者が対象。
・支給要件としては、会社が労働基準法の年次有給休暇とは別に、2/27~3/31の間に子どもの休校のために特別の有給休暇を取得させていること。会社は対象の従業員に、賃金の全額を補償すること。
・助成金支給額は、休暇中に支払った賃金相当額の100%。ただし日額上限8,330円。フリーランスの場合は定額で日額4,100円。


休業や売上ダウン等に関する支援

デイサービスや訪問介護事業所などでは、感染防止のためにしばらくの期間、休業している事業所も多く見受けられます。
しかし、休業期間が長引くと収入減により事業所の継続が危ぶまれることになります。
そのような企業の倒産防止のために下記の要件を満たした事業所は、雇用調整助成金が受給できる可能性があります。

<新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用調整助成金の特例>
・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主が対象。
・支給要件は、新型コロナウイルス感染症の影響で、最近1カ月の売上高に起因して前年同月に比して10%以上減少していることなど。
・支給額は、休業補償を実施した金額の3分の2(大企業は2分の1)を助成金で支給。

※詳細は、厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
をご確認ください。

上記以外にも、介護事業所では、スタッフの休業により一時的に人員基準に満たない場合が想定されます。
厚生労働省から、その際の介護報酬、人員、施設・設備および運営基準などについても柔軟な取扱いを可能にすると通達がありました。
しかし、介護現場では現状でも大半の事業所が人材不足に悩んでいるため、スタッフの休業が長引けば、フォローしているスタッフの疲弊や利用者への対応が不十分になる可能性もあります。
事業所としては、そのような状況に陥らないよう、スタッフの健康状態に注意しながらシフト管理を行い、少しでも業務効率が向上できるよう業務内容の見直しや新たな制度を検討することが重要です。

まずは感染拡大を防ぐため、一人ひとりが基本に返ってマスクの着用、手洗い、うがい、アルコール消毒などの予防策を徹底しましょう。


※本記事の記載内容は、2020年4月現在の法令・情報等に基づいています。