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『民事執行法』改正で、養育費不払いなどの取立てに新ルール!

19.10.08
ビジネス【法律豆知識】
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夫婦が離婚をした際、子どもの養育費の支払いや財産分与について取り決めがなされたり、慰謝料を一方が支払ったりすることがあります。
もっとも、これらの金銭的な支払いが常に履行されているかというと、支払われずにトラブルとなるケースも発生しています。
そこで、2019年5月に成立した『改正民事執行法』では、離婚に伴う金銭給付の不履行に対して、新しいルールが設けられました。
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離婚に伴う金銭給付に関する問題点

現在、養育費や慰謝料などの離婚に伴う金銭の支払いがなされない場合に取り得る手段としては、財産開示制度が定められています。
しかしながら、現在の財産開示制度は、当事者(支払い義務を負う者)に対して、自身の財産がどこにあるのかを裁判所に対して明らかにするように求める手続きであり、実効性に乏しいとされてきました。
そのため、法改正では、『第三者からの情報取得手続』という制度が制定されることとなりました。
この制度によって、(1)勤務先情報の開示及び、(2)銀行等の第三者に対して預貯金等の情報の開示を求めることができることになります。
(1)の勤務先情報は、市町村や年金事務所から取得することができます。
これまでは裁判等の手続きによったとしても、(1)(2)の情報を入手することはできませんでした。
しかしながら今回の法改正により、これらの入手が可能となります。


法改正で相手の勤務先や口座情報が入手可能に

養育費については、従前の民事執行法によっても、将来の給与を差し押さえることができるとされていましたが、支払い義務者が転職をしてしまうことで、差し押さえができなくなることが問題となっていました。
これに対しても、今回の法改正によって転職先を事実上知ることができるようになったことから、給与の差し押さえを改めて行うことができるようになると期待されています。

また、預金口座に対する差し押さえについては、民事執行法において、差し押さえを行う際に、銀行と支店を特定して行わなくてはならないとされています。
しかしながら現実には、どの銀行のどの支店に口座があるのかがわからず、強制執行が実効的に行えないという問題も生じていました。
これについても、今回の制度により、裁判所が銀行に問い合わせをし、口座のある支店を銀行に回答させることができるようになり、その結果として銀行と支店の特定が可能となったことから、強制執行が実効的になると考えられています。

ただし上記の手続きは、財産の所在を調べるための手続きで、差し押さえに踏み切るには、財産調査のうえで別途、手続きを行う必要がありますので、ご注意ください。
相手の勤務先や銀行口座が不明で、養育費や慰謝料をあきらめていた人には、今回の民事執行法の改正は朗報といえるでしょう。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。