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建設現場で起きた労働災害。請負業者が受ける影響は?

19.09.03
業種別【建設業】
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仕事が原因で起きた怪我や病気については、労働災害として労働者災害補償保険の適用対象となります。 
労働災害はどんな職場でも起こりえるものですが、建設現場は事務職や営業職と比べて労働環境が過酷なため、一般的な職場に比べて労働災害が起こりやすいといえます。 
建設現場ではどのような労働災害が起こりやすいのでしょうか。
また、労働災害が起こると請負業者にはどのような影響があるのでしょうか。
今回は、建設現場での労働災害について解説します。
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労働災害で最も多いのが墜落や転落

高いところに上って作業したり、大きな重機を操作したりと常に危険が隣り合わせの建設現場。
そのため、どうしても労働災害の件数が多く、発生したときは被害規模も大きいものとなってしまいます。

建設業労働災害防止協会の調査によれば、労働災害のなかで最も多いのが『墜落』や『転落』でした。
墜落や転落による労働災害は、毎年すべての事故のうち40%前後を占めます。
また、墜落による死亡者が発生した箇所としては、屋上・屋根、足場、崖・斜面などがあげられます。
このほか、『建設機械』『飛来・落下』による災害も多くなっています。
さらに建設業は、製造業、陸上貨物運送業、林業といったほかの業種よりも死亡者が出る割合が高くなっているのも特徴です。

ここで、最も多い墜落・転落事故について、過去に実際に起きた事故の例を紹介します。

一つ目は、高層階からの落下事故です。
作業員が、12階建てのマンションを新築する工事現場で鉄骨柱のボルトを締める作業を行っていました。
その際、作業員の安全帯が外れて17m近くを落下し、死亡するという事故が起きました。

二つ目は、足場からの転落事故です。
ビル屋上にある外部足場を解体していたところ、足場が傾いて墜落。
このときは35mもの高さから連絡通路に墜落しました。

どちらも建設現場で起きやすい事故といえます。


労働災害の責任は誰がどのように負う?

労働災害が起きたとき、まず責任を問われるのが請負業者になります。
なぜなら、建設現場では『労働者が安全に仕事ができるように配慮する義務』が請負業者側に課されているからです。
この安全配慮義務に違反していた場合、請負業者は労働者に対して損害賠償責任を負うことになります。
さらに、請負業者が注意義務を怠ったと判断されてしまった場合には、業務上過失致死傷罪という刑事罰に問われる可能性もあるのです。
このほかにも、安全配慮義務に違反していたことが原因で、公共工事の指名停止処分を受ける可能性もあります。
指名停止業者になってしまうと、請負業者のイメージは損なわれてしまいます。
その結果、経営面に大きなダメージを受けてしまいます。

このように、原則として請負業者側が労災事故の責任を負うことになりますが、例外的に発注者側が損害賠償請求責任などを追及されるケースもあります。
発注者とは、建設業者に建築工事を依頼する人や会社のことです。
原則として労災事故において発注者が責任を負うことはありません。
しかし、例外もあります。
発注者が安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を附した場合や、請負業者に対して違法な指示をしたことで労働災害が起きてしまった場合には、発注者が労災事故の責任を問われることになるのです。

ここで紹介した通り、労働災害が起きてしまうと、請負業者には大きなペナルティーが発生します。
請負業者はなんとか労働災害を隠したいものです。
そこで、近年大きな問題となっているのが『労災隠し』と呼ばれる現象です。
たとえば、下請会社が雇用している労働者の労働災害に対しては、元請会社が責任を負うケースが多いものです。
しかしそうなると、元請会社としては「次からこの下請会社を使うのは止めよう」と考えるため、下請会社としては会社を危うくする事態に陥りかねません。
また、手続きが面倒などの理由から労災隠しが行われることもあります。
これらの労災隠しが発覚すると50万円以下の罰金が科されるほか、厚生労働省のホームページで社名を公表されることもあるのです。

安全配慮義務に違反していると、作業員の命が危険にさらされます。
そして、何かが起これば、会社は労働者への損害賠償責任を負ったり、業務上過失致死傷罪として刑事罰を問われたりします。
そのため、現場での事故に関しては日頃から意識を高め、安全対策を講じておくことが重要です。


※本記事の記載内容は、2019年9月現在の法令・情報等に基づいています。