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多様化社会の今、性的少数者への適切な対応は?

19.07.30
ビジネス【人的資源】
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男女雇用機会均等法第11条では、職場のセクシュアルハラスメント(セクハラ)に対して、雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務付けています。
講ずべき措置については、『事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(セクハラ指針)』が厚生労働省によって定められています。
そして2017年、このセクハラ指針に、LGBTへのセクハラ防止措置も必要であると明記されました。
LGBTが社会的に認知されつつある今、職場でも適切な対応が求められています。
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認知されつつも、根強い偏見の現状

LGBTの社員への対応を考える前に、まずはLGBTについて知りましょう。
LGBTとは、次の四つの頭文字を取った略語です。

・L…Lesbian(レズビアン:女性同性愛者)
・G…Gay(ゲイ:男性同性愛者)
・B…Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)
・T…Transgender(トランスジェンダー:出生時に診断された性別と自認する性別の不一致)

LGBTは、このようなセクシュアルマイノリティ(少数の性的指向を有する人たち)を示す総称として使われています。
あくまで総称ですので、この四つに該当しない性的指向の人もいます。
少数者であることから、しばしば差別や偏見の対象とされてきた歴史があります。

近年は多くの著名人が、自身がLGBT当事者であることをカミングアウトするなどして、認知度は徐々に高まっているものの、一般企業のなかではまだまだ偏見が根強いのが現状で、LGBTに対するセクハラも起きています。
明らかな差別意識によるケースから、悪気はなくとも、それと知らずに働きづらい環境を醸成してしまっているケースまで、幅広いものがあります。
厚生労働省の、LGBTに対するセクハラ防止を追記した『セクハラ指針』改定は、このような状況を背景としています。


理解や配慮を深めることの重要さ

LGBTに対するセクハラの根底には、「理解が深まっていない」という問題があります。
また、LGBTであることを周囲に知らせていない社員もいます。
そのため、無自覚にセクハラが行われているケースもあるのです。

たとえば、仕事後の飲み会の席で「LGBTは気持ち悪い」という差別的な発言があったとします。
この会話をLGBTの社員が耳にしていたら、どうでしょうか。
その人にとって飲み会の場は“居心地のよい場”ではなくなり、翌日からの職場も“働きやすい環境”とはとうてい言えないものになってしまうでしょう。
あるいは商談の最中、LGBTへの偏見に満ちた内容の発言が、自社側の社員から出たとします。
もしその取引先相手が、カミングアウトしていないLGBT当事者だった場合、いかがでしょうか。
自社へのイメージは決してよいものにはならないはずで、今後の仕事にも影響が出てくるかもしれません。

こうしたことからも、企業はまず、社員の“LGBTに対する理解”を深めることが重要といえます。
そして、「自身の周囲にLGBTの人がいるかもしれない」という配慮ができるようにする必要があるでしょう。
そうした理解や配慮があって、初めてLGBTへのセクハラを防止することができるのです。
また、これを社員に浸透させることが、多様化社会の今、企業に求められる対応の一つといえます。


先進的取り組みを行う企業の増加

セクハラ指針の改定という機運も後押しとなり、近年、LGBTの社員への対応を含む、先進的な取り組みを行う企業が増えてきています。

たとえば、社内のセクハラ禁止規定を、LGBTを含めた形に改正したり、就業規則にLGBTへの差別を禁止する内容を盛り込んでいる企業や、より理解を深めるために、LGBTに関する研修を行う企業があります。
さらに、異性パートナーとの結婚同様に、同性パートナーとの結婚に祝い金や休暇、住宅手当を支給したり、慶弔休暇を与えたりする企業もあります。

職場でのセクハラを防止することは、企業の大切な役目です。
そして今では、従来のセクハラだけでなく、LGBTへのセクハラにも対応する必要があります。
性的指向にとらわれず、優秀な人材が活躍できる場を提供することは、企業にとってプラスとなります。
企業全体の生産性の向上や、仕事に対する意欲の向上にもつながるでしょう。
誰もが快適に働ける環境づくりのために、できることから始めてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。