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禁煙社会、世の企業から“たばこ休憩”がなくなる!?

19.03.12
ビジネス【法律豆知識】
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東京都議会で2018年6月、店の広さにかかわらず従業員のいる飲食店を原則屋内禁煙とする『受動喫煙防止条例案』が可決され、2020年4月1日に全面施行されます。
この東京都の新条例をきっかけに、禁煙、分煙に対する議論は全国でますます高まっています。 
日本の多くの企業では、暗黙のルールとして“たばこ休憩”を認めてきましたが、一部では、たばこに対して厳しい対応を取る企業も出てきました。 
会社は従業員のたばこ休憩を禁止できるのか、採用時に喫煙者であることを理由に不採用にするのは法的には問題がないのかなど、企業内での喫煙についての疑問を解説します。
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吸う人・吸わない人で不公平が生じている

最高裁は、昭和45年9月16日判決で『喫煙の自由は、憲法第13条の保障する基本的人権の一つに含まれるとしても、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない』として、喫煙の自由が基本的人権として認められる可能性を示唆しつつも、時と場所によっては制約されることがあるものとしています。

会社は従業員と雇用契約を結び、業務の遂行方法などについて従業員に対する指揮命令権を持っています。
そのため、基本的には、会社が従業員のたばこ休憩を禁止すれば、従業員はそれに従う必要があることになります。

実際、たばこ休憩のために就業時間内に持ち場を離れることは、業務に支障をきたす場合もあるうえ、たばこを吸う人と吸わない人で休憩時間に差が生じているのも事実です。
一方で、これまで認めていたたばこ休憩を急に禁止すると、従業員の反発を買うだけでなく、たばこには依存性があることから業務に支障が出てしまうことも考えられます。


喫煙者を不採用にしている企業が増加中

大手リゾートホテル運営会社など一部の企業では、喫煙者を不採用とする動きが増えています。
不採用とする理由として、ニコチン切れによる集中力の低下や喫煙スペースの管理コスト、非喫煙社員の不公平感などをあげています。

採用は、企業と労働者の間の労働契約の締結であり、企業が誰と契約を締結するかは基本的に企業の自由です。
したがって、企業が喫煙者を一律不採用とする方針をとっていたとしても違法とはいえません。


健康増進法で、受動喫煙防止に努めなければならない

健康増進法第25条では『学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない』と定めて、施設を管理する者に対して努力義務をうたっています。

企業が喫煙を認める場合は、喫煙所や喫煙スペースを正しく管理して、受動喫煙防止に努めなければなりません。
また、たばこを吸わない人が感じる不公平感を緩和するための配慮も必要になります。
最近では非喫煙者に対して特別に有給休暇を付与して不公平感を減少させようという試みを行っている企業もあります。

喫煙を一律禁止にする場合には、会社が禁煙外来の受診料を負担したり、社内で禁煙のメリットを広める啓蒙活動を行うなど、喫煙者に対するケアも求められます。

受動喫煙によって周りの人に重大な健康被害が出るおそれがあり、社内の喫煙者と非喫煙者の間に不公平感が生じうることを受け止めて、会社として喫煙に関するルールをつくることが大切です。


※本記事の記載内容は、2019年3月現在の法令・情報等に基づいています。