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その工事の売上計上はいつ行う? 建設業会計基準のポイント

18.11.07
業種別【建設業】
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建設業経営者の中には、「お金回りのことは税理士や経理に任せきり」という人も多いのではないでしょうか。
その原因の一つに“会計のわかりにくさ”があると思います。
建設業では、会計年度をまたぐ工事を受注することも多くあります。
そのため、売上や原価をいつ計上するのかをしっかりと把握し、会計処理を行いたいものです。
今回は、建設業の業務で押さえておきたい、正しい会計処理のための会計基準の種類と特徴について、詳しく解説します。
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建設業で主に使われる2つの会計基準

建設業の会計では、主に『工事完成基準』と『工事進行基準』の2つの会計基準が使われています。
それぞれの違いは次のようになります。

工事完成基準
工事が完成して目的物の引き渡しを行った時点で、完成工事高と完成工事原価を計上する方法です。
すべてが終わった後で収支を出せるため、その工事が黒字だったのか赤字だったのか、どれくらいの原価がかかったのかなどが把握しやすいのが特徴です。
一方、工事が数年にまたがる場合は、その工事が黒字なのか赤字なのかが工事完成まで見えにくいため、帳簿と実際のズレが出やすく、どんぶり勘定になりやすいというデメリットもあります。

工事進行基準
その工事について発生している収益や原価を期ごとに見積もる方法で、工事の進捗に応じた収支を管理することができます。
期をまたぐ工事で工事完成基準を使うと、工事途中では工事高と原価が把握できず、外部から見たときにその会社の経営が安定しているのかがわかりにくいものです。
しかし工事進行基準を使えば、企業の実体に即した会計管理がしやすいため、外部からも経営状況が見えやすくなります。
そのため、金融機関などに『収支をしっかり管理できている会社だ』という信頼感を与えられ、融資を受けるときに有利に働くことも期待できます。
建設業者自身としても、その工事が赤字なのか黒字なのかを早期に把握できるため、追加の作業などが発生したときも追加請求をしやすくなります。
これらの理由から、建設業の会計基準は工事進行基準が原則とされています。


工事進行基準を適用できる要件とは?

しかし、すべての工事に工事進行基準が適用できるわけではなく、いくつかの条件があります。

(1)その工事が以下の要件を満たした『長期大規模工事』であること

・工事着工日から、契約上の目的物の引渡期日まで1年以上の期間があること
・工事請負対価額が10億円以上であること
・工事請負対価額の1/2を超える額が、目的物の引き渡し期日から1年を経過する日までに支払われると定められていること

(2)その工事が長期大規模工事に当てはまらない場合は、以下の要素に信頼性があり、『進捗部分について成果の確実性が認められる』こと

・工事収益総額(最終的に工事が完成し、収益が上がることが信頼できるか)
・工事原価総額(計上している工事原価に信頼性があるか)
・決算日における工事進捗度(工事進捗度を的確に把握しているか)

一般的な会計制度では、投資家への情報公開などのため、1年という期間を区切って会社の業績を計上しています。
しかし建設業では一つの工事が完成するまでに数年間がかかることも珍しくありません。
このことから、建設業独特の経理処理方法として、工事完成基準と工事進行基準が策定されています。
建設業経営者として、工事を受注した際にはどちらの基準を適用できるのか、すぐにわかるようにしておきたいものです。