有限会社 サステイナブル・デザイン

異常or通常? リスクor機会?

18.08.31
トピックス
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西日本を中心とする豪雨被害、
日本列島を東から西に「横断」した台風、
35℃超えの猛暑が日常茶飯事となった気温。

2018年の夏は「異常」気象のオンパレードです。
しかし、21世紀の世界では、これが「通常」であるかもしれません。

温暖化は現象、問題は気候変動 

日本ではいまだに「地球温暖化」という言葉で語られており、
法律も「地球温暖化対策の推進に関する法律」(通称、温対法)という名称です。

しかし、そもそも、1992年の国際条約からして、温暖化防止条約ではなく、
気候変動枠組条約と命名されているように、温暖化それ自体というより、
温暖化によって引き起こされる「気候変動」が本当の問題です。

環境省の「STOP The 温暖化」という資料がありますが、
世界の議論は、いまや、温暖化をSTOPすることはできないので、
どこまでに「とどめるか」、その世界にどう「適応」するか、に
焦点が移っています。

で、上記の資料には、科学者がコンピューターでシミュレーションした結果、
論文やレポートにとりまとめられた「予想」が、地図やグラフで表現されているのです。


いくら読んでも、いくら視覚化しても、百聞は一見に如かず、
この通りのことが起きています。

2018年は、いよいよ、この「気候変動」が現実のものとして
多くの人に実感されるようになった年、
として、将来の歴史書に刻まれるかもしれません。

BCP(事業継続計画)は有効だったか?

異常気象という表現は、「平年」から著しく逸脱した場合に使われます。
しかし、その「平年」自体の基準が変わってしまえば、
今年のような異常気象が、将来の世界では「平年」、
今までの「平年」がむしろ異常ということになりますね。

異常の通常化、それが「気候変動」の本質です。

となると、今年のような異常気象は、
将来の世界では「想定外」では済まされなくて、
想定内のこととして、対策済みであることが求められます。

Clear and Present Danger(今そこにある危機)
これは、25年ほど前のアメリカ映画のタイトルです。
(内容自体は、気候変動とはまったく関係ありませんが) 

気候変動は「未来のどこか」の話ではなく、まさに「今そこ」で起きており、
「だれか」ではなく「自分」が対処すべき問題になりつつあります。

しかし、企業経営においては、まだまだ、そこまでの認識には至っていません。

東日本大震災を機に、BCP(事業継続計画)が脚光を浴びるようになりましたが、
多くのBCPでは、「震災」を想定していても「豪雨」「水害」は想定外だったようです。

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西日本豪雨 経営リスク想定3割 洪水への備え、企業の盲点に
西日本豪雨 複合災害を見据えBCP策定を
西日本豪雨  「洪水リスク」想定企業3割 「事業継続計画」の盲点
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私の専門分野の1つである環境マネジメントシステムでは、
環境側面からの経営リスクと機会の検討・分析を求めるようになりましたし、
もともと緊急事態対応も求められています。

ただ、緊急事態として洪水や水害が想定され、訓練が行われている
ケースは少ないでしょう。

さらに、今はサプライチェーンマネジメントの時代ですから、
原材料や部品などの供給先が被害を受ければ、間接的に事業に影響します。
原価率が上昇したり、そもそも生産をストップないし縮小せざるを得なくなれば 大打撃ですね。

中小企業にとっても(むしろ、経営資源の少ない中小企業ほど)、
自然災害のリスクアセスメント&マネジメントが重要になってきているわけです。

リスクと機会のうち、まず、リスクの方から、
今までよりも思考の枠と時間軸を広げて
想定する必要があるようです。

では、機会のほうは?
自然災害の後に「株価が上がった」として注目される会社がありますね。
投資家は災害にすら機会を見出す目線を持っているわけです。

投資家の目線で、

どんな企業だったら安心して投資できるか?
災い転じて福と為すことができそうか?

と考えてみて、自社の災害リスク・災害対応を点検してみてはどうでしょうか?

縄文時代はどうだった?

ちなみに縄文時代は、今よりも気温が高く、海水面も高かったことは周知の事実です。

温暖化地獄、という表現をする識者の方も見受けられますが、
では縄文時代は温暖化地獄だったかというと、そうではないでしょう。

この時期、世界各地で農業革命が起きたり4大文明が発展したり、
人類にとっては躍進の機会となりました。

ただ、当時の暮らしぶりや、日々の天候のことまではよくわかりません。
「異常」気象に接するにつけ、

もしや、毎年こんな気候だったのだろうか?
最大級と言われる三内丸山遺跡が青森にあるのも、そのせいだろうか?
(毎年こんなに暑ければ、なるべく北の涼しいところに住みたくなるはず!)

と想像を巡らせたりしています。

縄文時代の海岸線は地図になっていますが、
当時のこの地方の気候はこうだったよ、災害リスクはこのくらい、
といった研究成果が出てくると、21世紀現代の企業のBCPにとって、
とても有用な情報になるはずです。

こんな「温故知新」も期待したいところです。

さて、まだまだ猛残暑が続きそうですが、ご自愛を。。。