異常or通常? リスクor機会?
西日本を中心とする豪雨被害、
日本列島を東から西に「横断」した台風、
35℃超えの猛暑が日常茶飯事となった気温。
2018年の夏は「異常」気象のオンパレードです。
しかし、21世紀の世界では、これが「通常」であるかもしれません。
日本列島を東から西に「横断」した台風、
35℃超えの猛暑が日常茶飯事となった気温。
2018年の夏は「異常」気象のオンパレードです。
しかし、21世紀の世界では、これが「通常」であるかもしれません。
温暖化は現象、問題は気候変動
日本ではいまだに「地球温暖化」という言葉で語られており、法律も「地球温暖化対策の推進に関する法律」(通称、温対法)という名称です。
しかし、そもそも、1992年の国際条約からして、温暖化防止条約ではなく、
気候変動枠組条約と命名されているように、温暖化それ自体というより、
温暖化によって引き起こされる「気候変動」が本当の問題です。
環境省の「STOP The 温暖化」という資料がありますが、
世界の議論は、いまや、温暖化をSTOPすることはできないので、
どこまでに「とどめるか」、その世界にどう「適応」するか、に
焦点が移っています。
で、上記の資料には、科学者がコンピューターでシミュレーションした結果、
論文やレポートにとりまとめられた「予想」が、地図やグラフで表現されているのです。
いくら読んでも、いくら視覚化しても、百聞は一見に如かず、
この通りのことが起きています。
2018年は、いよいよ、この「気候変動」が現実のものとして
多くの人に実感されるようになった年、
として、将来の歴史書に刻まれるかもしれません。
BCP(事業継続計画)は有効だったか?
異常気象という表現は、「平年」から著しく逸脱した場合に使われます。しかし、その「平年」自体の基準が変わってしまえば、
今年のような異常気象が、将来の世界では「平年」、
今までの「平年」がむしろ異常ということになりますね。
異常の通常化、それが「気候変動」の本質です。
となると、今年のような異常気象は、
将来の世界では「想定外」では済まされなくて、
想定内のこととして、対策済みであることが求められます。
Clear and Present Danger(今そこにある危機)
これは、25年ほど前のアメリカ映画のタイトルです。
(内容自体は、気候変動とはまったく関係ありませんが)
気候変動は「未来のどこか」の話ではなく、まさに「今そこ」で起きており、
「だれか」ではなく「自分」が対処すべき問題になりつつあります。
しかし、企業経営においては、まだまだ、そこまでの認識には至っていません。
東日本大震災を機に、BCP(事業継続計画)が脚光を浴びるようになりましたが、
多くのBCPでは、「震災」を想定していても「豪雨」「水害」は想定外だったようです。
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西日本豪雨 経営リスク想定3割 洪水への備え、企業の盲点に
西日本豪雨 複合災害を見据えBCP策定を
西日本豪雨 「洪水リスク」想定企業3割 「事業継続計画」の盲点
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私の専門分野の1つである環境マネジメントシステムでは、
環境側面からの経営リスクと機会の検討・分析を求めるようになりましたし、
もともと緊急事態対応も求められています。
ただ、緊急事態として洪水や水害が想定され、訓練が行われている
ケースは少ないでしょう。
さらに、今はサプライチェーンマネジメントの時代ですから、
原材料や部品などの供給先が被害を受ければ、間接的に事業に影響します。
原価率が上昇したり、そもそも生産をストップないし縮小せざるを得なくなれば 大打撃ですね。
中小企業にとっても(むしろ、経営資源の少ない中小企業ほど)、
自然災害のリスクアセスメント&マネジメントが重要になってきているわけです。
リスクと機会のうち、まず、リスクの方から、
今までよりも思考の枠と時間軸を広げて
想定する必要があるようです。
では、機会のほうは?
自然災害の後に「株価が上がった」として注目される会社がありますね。
投資家は災害にすら機会を見出す目線を持っているわけです。
投資家の目線で、
どんな企業だったら安心して投資できるか?
災い転じて福と為すことができそうか?
と考えてみて、自社の災害リスク・災害対応を点検してみてはどうでしょうか?
縄文時代はどうだった?
ちなみに縄文時代は、今よりも気温が高く、海水面も高かったことは周知の事実です。温暖化地獄、という表現をする識者の方も見受けられますが、
では縄文時代は温暖化地獄だったかというと、そうではないでしょう。
この時期、世界各地で農業革命が起きたり4大文明が発展したり、
人類にとっては躍進の機会となりました。
ただ、当時の暮らしぶりや、日々の天候のことまではよくわかりません。
「異常」気象に接するにつけ、
もしや、毎年こんな気候だったのだろうか?
最大級と言われる三内丸山遺跡が青森にあるのも、そのせいだろうか?
(毎年こんなに暑ければ、なるべく北の涼しいところに住みたくなるはず!)
と想像を巡らせたりしています。
縄文時代の海岸線は地図になっていますが、
当時のこの地方の気候はこうだったよ、災害リスクはこのくらい、
といった研究成果が出てくると、21世紀現代の企業のBCPにとって、
とても有用な情報になるはずです。
こんな「温故知新」も期待したいところです。
さて、まだまだ猛残暑が続きそうですが、ご自愛を。。。