「サステイナブル」の話は、いったいいつから?
名刺交換して
「サステイナブル・デザインの西原です」
「2002年から、この社名でやってます」
と挨拶すると、最近では
「サステイナブルって言葉、その頃あったんですか?」
というお尋ねをいただくことが増えてきました。
もちろん、ありました。
では、いつから?・・・
「サステイナブル」事始めは、思ったより昔
私が「サステイナブル」という言葉・概念に出会ったのは、
1990年です。
大学4年生で、卒業論文のテーマを「廃棄物問題」と定め
いろいろ文献を調べているときでした。
3周前の午年、36年前、ということになります。
※このあたりの経緯は、別記事↓にまとめてあります。
「サステイナブル歴35年」の始まりは?
以来、私は廃棄物問題を皮切りに環境問題、
そして「サステイナブル」をライフワークとしてきたわけですが、
このとき、Sustainable Development(持続可能な開発)という
概念が3年前(1987年)に定義されたばかりでした。
というわけで、もうこれで39年前ですね。
しかし、「サステイナブル」が議論されるようになったのは
さらにさかのぼること15年前、1972年のことです。
・ローマクラブ報告「成長の限界」の発表
・国連人間環境開発会議(ストックホルム会議)の開催
という出来事がありました。
今(2026年)から数えると54年前、
半世紀以上!ということになります。
当時の世界は、人口も経済も急成長、
これに伴って、資源・エネルギー・環境問題が
深刻化していたのです。
日本の場合は、高度経済成長、そして公害の時代でした。
「成長の限界」で提起された問題
この報告書には、「蓮の池」のナゾナゾが掲載されています。
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・ある池に、蓮が茂っています。
・この蓮は成長が速く、1日で葉の面積が2倍になります。
・ある日、池の水面の半分を蓮が覆っていました。
・さて、池の水面を全部、蓮が覆うのはいつでしょう?
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だいたい、こんな感じです。
で、答えはというと、
・・・
・・・
・・・
翌日、ですね。
ここで、蓮の葉は、
・人口・経済の急成長
・資源・エネルギー消費の急増
・廃棄物・環境汚染の急増
のたとえです。
池は、地球の資源・エネルギー供給可能量と環境容量のたとえです。
人類はすぐにも地球の資源・エネルギーを消費し尽くし、
環境を汚しつくしてしまうのではないか、
そうなったら社会も経済も破綻してしまうぞ、
という危機感を、このナゾナゾに託して表現したものですね。
さて、1970年当時の世界人口は37億人、
55年たった2025年の世界人口は82億人。
1日で、というほどではありませんが、倍を超えています。
「Only One Earth」
これは、世界初の環境問題に関する国際会議として開催された
国連人間環境開発会議(開催地から通称「ストックホルム会議」)の
キャッチフレーズです。
当時、アメリカのアポロ計画により、
月から見た地球の映像が、
世界の人々に届けられたばかりでした。
ガリレオ・ガリレイ以来、
地球は太陽の周りを回る天体だ、
平べったい円盤ではなくて球体だ、
という知識はありました。
しかし、「本当にそうなんだ」、
と人々が納得する上で、
宇宙を背景に地球がぽっかり浮かんでいる画像の
影響力は大きかったでしょう。
そこで「Only One Earth」です。
地球は1個しかないよ、2個はないよ
ということですね。
人生は一度限り、2度はないよ
と似てますね。
やり直すなら、コースを変えるのは、いつ?
今でしょ!というのが1972年でした。
じゃあ、どうやって???
その答えとして15年かかって導き出されたのが
Sustainable Development(持続可能な開発)
です。
ちなみに「Our Common Future」というタイトルの報告書でした。
日本語では「我ら共有の未来」と訳されています。
その28年後、2015年にGoals(目標)が設定されて
SDGsとなりました。
SDGsが記載された行動計画のタイトルが
「Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development」
です。
「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための2030アジェンダ」
と訳されていますが、生半可な改革どころではなく、
もう、大きくガラッと別物にぐらい変える必要があるよ、
というニュアンスですね。
セミナー・講演・研修では、いつも冒頭にするお話を
だいぶ縮めましたが、こういう半世紀以上の歴史の流れの中でみると、
私のサステイナブル歴36年も、その2/3ぐらいしかない、ということになります。
皆さんの人生年表に、つい最近まで
「サステイナブル」は入っていなかったかもしれません。
しかし、知らないところで、知らない人々により、
努力は続けられてきました。
1972年~:S
1987年~:SD
2015年~:SDGs
アルファベットたった4文字に、こういう歴史が詰まっていたのですね。
地球1個+αの「+α」はどこから?
ちなみに、エコロジカル・フットプリントという指標でみると、
1970年当時の人類は、ギリギリ地球1個分の暮らしをしていました。
今でしょ!の問題意識は、タイムリーだったと言えます。
そして、現在の人類は、平均で地球1.8個分の暮らしをしています。
あれ、地球は1個しかないのに、0.8個分はどうしてるの?
と思った方は、鋭いですね。
そうです、我々は、
地球0.8個分の資源・エネルギー・環境を
将来世代から前借りしている
のです。毎年、毎年、毎年。
別の表現をすると、
1年分の収入を7月までに使い切って、
8月~12月は借金暮らしをしている人
と同じです。毎年、毎年、毎年。
家計として破綻していますね。
これを、持続不可能と言います。
ちなみに、収入が増やせないとしたら、
支出を減らすしかないですね。
入りを量りて出ずるを制す。
これが、将来世代にツケを回さないための
現在世代の責任です。