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“世界最高峰”の広告賞カンヌライオンズで話題の『ソーシャル・グッド』って何だ?

14.06.01
ビジネス【マーケティング】
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「カンヌライオンズ」と呼ばれる“世界最高峰”の
国際広告賞は、毎年6月にフランス・カンヌで開催され、
2013年には60周年を迎えました。

そこには世界92ヵ国から35,000もの広告作品や
マーケティング・コミュニケーション施策が応募され、
12,000人ものマーケティング関係者が集合します。
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佐藤達郎のマーケティング論

100近いセミナーやワークショップも行われ、
世界の広告やマーケティングのトレンドが語られ、
“次の”アイディアに大きな影響を及ぼすと言われています。

このカンヌライオンズ2013で最も注目されたキーワードが、
「ソーシャル・グッド」でした。

声高に自社製品の優位性を叫ぶのではなく、
広告や企業のマーケティングが、何か「世の中に良いこと」をする。
その方がそのブランド(製品)が好かれることとなり、
結果的にマーケティングとしての成果が上がる
(つまり売れる)ということを表しています。
 
例えば、アウトドア(屋外看板)部門のグランプリ受賞作品。
看板の左隅に「Smart Ideas for Smarter Cities」
(街をちょっと良くするアイディア募集)と書かれただけの
IBMのウェブサイトの広告です。

よく見ると、看板の下の部分がベンチになっていて
人が休めるようになっています。
他のバージョンでは、上の部分がカーブしていて雨宿りができるように。

もうひとつのバージョンは、5段くらいの階段の前にあって
下の部分にスロープが付けられ、車輪付きのケースを持った人が
簡単に階段部分を通過できるようになっています。

テーマである「Smart Ideas for Smarter Cities」
(街をちょっと良くするアイディア)を、
看板広告自身が体現したわけです。

ほんのちょっとしたことだけど、「広告が世の中にできる良いこと」を
見事に実現している作品として絶賛されました。

そして、他にも多くの「ソーシャル・グッド」を目指した応募作が評価され、
実際の現場でも効果を上げていることが報告されました。

こういった、マーケティングにおける「社会志向」の重要性の高まりについては、
マーケティング学者としてつとに有名なフィリップ・コトラー教授が
著書『コトラーのマーケティング3.0』の中でも指摘しています。

次回は、このコトラー教授の論についてご紹介していきます。


次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は
「『世界をよりよい場所にすること』を目的に!
コトラーのマーケティング3.0」をお届けします。


[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

[記事提供]

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