白髪染めや白髪ぼかしなどの『白髪』に特化した専門サロンの勝機
近年、美容業界では多様なニーズに応える専門的なサロンが増加傾向にあります。
そのなかでも特に注目を集めているのが、「白髪」の施術に特化したサロンです。
白髪専門サロンは、その名の通り、お客の白髪に関する悩みに深く寄り添いながら、白髪染めや白髪ぼかしといった施術を行うサロンです。
ほかの美容室では数あるメニューの一つとして扱われることも多い「白髪メニュー」ですが、あえて白髪に特化した専門サロンの優位性について、解説します。
白髪メニューへの多様化・高度化のニーズ
近年は男性のお客も美容室を利用しますが、やはり利用客のメインの層は女性が中心です。
全国理美容製造者協会の公表している「サロンユーザー調査2024年」によれば、1年間に1回以上サロンを利用する割合は、男性が4人に1人の約25%だったのに対し、女性は10人に9人の約90%でした。
また、女性は年代が上がるほどサロンの利用回数が増え、30代までは年に3~5回の利用が約半数でしたが、40代からは年6回以上が増え、60代になると年6回以上の利用者が4割を超えます。
白髪が生え始めるのは、男女ともに平均して35歳頃といわれており、美容室を利用するボリュームゾーンの客層と重なっています。
同じく全国理美容製造者協会の調査では、40代・50代・60代の女性が抱える髪の悩みの1位は「白髪がある」となっています。
一方、近年は白髪に対する意識も変わってきました。
かつては「隠す」ことが主流だった白髪ですが、現在は「白髪を活かす」「白髪と共存する」といった考え方も広まっています。
白髪ぼかしやハイライトなどを活用して、白髪を自然に見せるデザインカラーが人気を集めており、白髪染めに対するニーズも単に黒く染めるだけではなく、よりデザイン性や個性を追求するものへと変化しつつあります。
さらに、健康志向の高まりとともに、頭皮や髪へのダメージを気にするお客も増えてきました。
白髪染めの薬剤による刺激やアレルギー反応を懸念する声もあり、よりマイルドな薬剤や、頭皮に優しい施術が求められています。
このように、従来から必要性の高い白髪メニューに関するニーズは、より多様化・高度化しており、これまでの美容室では対応しきれない専門的なケアが求められています。
白髪に特化することのメリットとデメリット
白髪専門サロンは、年齢を重ねるごとに誰もが直面する白髪という普遍的な悩みに焦点を当てることで、お客の深いニーズに応えるサロンといえます。
店としても、明確なターゲット層を設定できることが経営面での大きなメリットになります。
前述した通り、白髪の悩みを抱えるお客の年齢層は幅広く、数も多いため、安定した来店が見込めます。
特に、白髪染めは定期的な来店が必要となるので、リピート率の向上につながりやすいという特徴があります。
一度、お客が満足すれば、継続的に来店してくれる可能性が高く、安定した売上を確保することができるでしょう。
また、施術内容が白髪関連に限定されることで、使用する薬剤の種類を絞り込むことができ、在庫管理も簡素化されます。
特定の技術に特化することで、スタッフの教育も効率的に行え、人件費の削減にもなる可能性があります。
たとえば、さまざまなメニューに対応するために必要となっていた研修時間やコストを、白髪専門の知識と技術の習得に集中できます。
このように、効率化とコスト削減という視点からも、白髪の施術に特化するのは、経営判断としてあり得るでしょう。
ただし、ターゲット層が固定されるということは、白髪に悩んでいない若年層や、カラーリングで多様な色を楽しみたいお客を取りこぼすことになりますし、白髪ぼかしなどのトレンドが過ぎ去った場合、その需要が減少し、売上が低迷するリスクも考えられます。
これから参入するのであれば、こうしたリスクをよく理解したうえで、しっかりと検討しなければいけません。
また、白髪の施術に特化した専門サロンを成功させるためには、計画的かつ戦略的な手順を踏むことも重要です。
白髪染めといっても、お客のニーズは多岐にわたります。
白髪を完全にカバーしたいのか、自然にぼかしたいのか、あるいは白髪を活かしたデザインを楽しみたいのか、地域の客層はどのような傾向にあるのかなど、詳しい事前調査は欠かせません。
もちろん、専門性の高い技術と知識の習得も不可欠です。
白髪専門サロンとしてお客に選ばれるためには、一般的な美容室では得られない専門的な技術と知識を提供できることが必須になります。
外部講習への参加や店内研修などを取り入れて、基本的な白髪ケア技術や薬剤知識はもちろんのこと、白髪を活かしたハイライトやローライト、白髪ぼかしなど、幅広いデザインの提案ができる技術と知識を習得しておきましょう。
白髪の悩みを抱えるお客は今後も増え続け、そのニーズはさらに細分化されていくことが予想されます。
白髪メニューへの特化は、サロンの持続的な成長を可能にする選択肢の一つといえるかもしれません。
※本記事の記載内容は、2025年7月現在の法令・情報等に基づいています。