税理士法人中山会計

正しく帳簿を作成・保存していないと加算税が重くなるケースとは

26.08.11
ビジネス【税務・会計】
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帳簿は毎年の税務申告を行うためだけではなく、会社の経営状態を正確に把握し、事業を安定して継続していくために必要なものです。
この帳簿を正しく作成・保存することは、事業者の義務として法律で定められています。
もし、帳簿の保存や記載に不備があると、税務調査などの際に本来納める税金に加えて、ペナルティとしての税金が課されることがあります。
2024年からは、ペナルティである「加算税」の割合がさらに重くなりました。
帳簿の不備により加算税が重くなる具体的なケースと、その内容について紹介します。

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ペナルティとしての加算税が最大10%加重

日本における所得税や法人税などの国税は、納税者自身が所得と税額を計算し、申告して納付する申告納税制度を採用しています。
この制度が正しく機能するためには、日々の取引活動が帳簿に正確に記録され、かつ客観的な証拠として保存されていることが前提となります。

もし、申告内容に誤りがあったり、期限までに申告が行われなかったりした場合には、国税通則法で規定されている「附帯税」の一つである加算税が課されます。
加算税とは、ペナルティとしての性質を持つ税金のことであり、本来の税金に追加して納めなければならないものです。

そして、2024年1月より、売上に関する帳簿を作成・保存していない事業者は、加算税が重くなる措置が講じられました。
具体的には、事業者が売上に関する帳簿を適切に保存していなかったり、帳簿への売上の記載が不十分であったりすることが税務調査で判明した場合、通常課される加算税の割合が最大で10%加重されます。

改正の背景には、事業活動の基本である帳簿づけを適正に行うことを促し、公平な課税を実現するという狙いがあります。
帳簿の不備に対してより厳しい対応がとられるようになったため、事業を運営するうえではこれまで以上に正確な経理処理が求められます。

帳簿を提示できない・記載不備などで加重

では、どのような状況で加算税の割合が増えるのでしょうか。
帳簿の記載状況などに応じて、大きく三つの基準が設けられています。

一つ目は、税務調査の際に調査官から帳簿の提示などを求められたにもかかわらず、提示しなかった場合です。
そもそも帳簿を作成・保存していなかったり、何らかの理由で見せられなかったりしたケースでは、通常の加算税の割合に対して一律で10%が加重されます。

二つ目は、帳簿に売上額の記載などはあるものの、その記載された売上額が本来記載すべき正しい売上額の2分の1未満であった場合です。
半分以上の売上が帳簿から漏れていたような著しい不備がある状態であり、この場合も通常の加算税の割合に10%が加重されます。

三つ目は、帳簿に記載された売上額が、本来記載すべき正しい売上額の3分の2未満であった場合です。
先ほどのケースよりは記載されている割合が高いものの、依然として売上の3分の1以上が漏れている状態です。
この場合は、通常の加算税の割合に5%が加重されることになります。

加重措置の対象となる加算税と対象外の加算税

加重措置の主な対象となるのは、加算税のなかでも「過少申告加算税」と「無申告加算税」の二種類です。

過少申告加算税とは、期限内に申告書を提出していたものの、税務調査の通知以後に、期限内に申告した税額が本来納めるべき税額よりも少なかったことが発覚し、修正申告などを行なった場合に課されるペナルティです。
最初から正しい金額で申告または、税務調査の通知前に自主的に修正申告をしていれば払わずに済んだ税金といえます。

一方、無申告加算税とは、法律で定められた申告期限までに申告書を提出せず、期限後に申告を行なった場合や、税務署から所得金額の決定を受けた場合などに課されるペナルティです。
期限を守らなかったことに対する罰則であり、原則として納付すべき本税に対して一定の割合を乗じて計算されます。

これら二つの加算税に対して、帳簿の不備がある場合には最大10%が上乗せされることになります。
ただし、すべての加算税が加重措置の対象になるわけではありません。
事実を仮装したり隠蔽したりするような悪質なケースに課される「重加算税」や、源泉所得税などを期限までに納付しなかった場合に課される「不納付加算税」については、今回の帳簿の不備を理由とした加重措置の対象外です。
なお、重加算税はもともと非常に重い税率が設定されているため、対象外だからといって、決してペナルティが軽いわけではありません。

税務調査を受けていない状況で、みずからの無申告や申告漏れの事実に気づき、期限後申告書や修正申告書を提出した場合、その時点ではまだ税務職員から帳簿の提示などを求められている状況にはないため、最大10%の加重措置は適用されません。
期限後に申告を行なった場合、通常の無申告加算税や、利息に相当する延滞税がかかりますが、本措置の適用は避けることができます。

このように、帳簿に不備があったり、確定申告の期限に遅れたりすると、加算税などが課されることもあります。
普段から正しい帳簿の作成・保存を心がけるようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2026年8月現在の法令・情報等に基づいています。