税理士法人中山会計

省人化も期待!『3Dプリンティング技術』の実用性と将来性

25.04.01
業種別【建設業】
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建設業界では高齢化に伴う人手不足や世界的な資源価格の変動による資材の高騰など、さまざまな課題が深刻化しており、その解決策の一つとして「3Dプリンティング技術」が注目されています。
3Dプリンティング技術は、建設業界に省人化やコスト削減、工期短縮、デザインの自由度向上など、多くのメリットをもたらすことが期待されています。
一方で、これから解決しなければならない課題もたくさんあります。
3Dプリンティング技術の『現在地』を探りつつ、その実用性と将来性に迫ります。

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国内外における3Dプリンティング技術の状況

3Dプリンティング技術とは、コンピュータで作成した3次元の設計データを元に、材料を一層ずつ積み重ねていき、立体的な構造物を造形する技術です。
3Dプリンティング技術は、従来の製造方法では困難だった複雑な形状の構造物や部品を短時間、かつ低コストで製造できるという特徴があります。

すでに多くの建設事業者が3Dプリンティング技術の導入を進めています。
業界大手の清水建設株式会社は、2022年春に開業した複合開発街区「ミチノテラス豊洲」の広場状デッキを支える柱を3Dプリンティング技術で建設しました。

大成建設株式会社は2025年1月に独自開発の3Dプリンティング技術を使用した、巻き立て耐震補強柱の実験を公開しています。

また、一般向け3Dプリンター住宅の販売を行う兵庫県西宮市のセレンディクス株式会社は、2022年3月に3Dプリンター住宅を活用した24時間以内の施工に日本で初めて成功し、国内外で大きなニュースになりました。

世界でも3Dプリンティング技術の活用が進んでおり、オランダでは3Dプリンターで建設された世界初の橋が完成し、話題となりました。
ドバイでは、3Dプリンターで建設されたオフィスビルが実際に使用されています。
ほかにも、アメリカや中国など、世界各地で3Dプリンティング技術を使用したプロジェクトが進められています。

3Dプリンティング技術のメリットと課題

すでに、実用段階に入りつつある3Dプリンティング技術ですが、まずはその基礎を把握しておく必要があります。

3Dプリンティング技術にはさまざまな種類がありますが、建設業界で主に使われているのは、コンクリートやモルタルなどのセメント系の材料を使用したものです。
3Dプリンティング方式は、材料を押し出して積み重ねていく「材料押出法」と、液体状の材料を吹き付けて形を作る「材料噴射法」が主に採用されています。
2024年11月には、清水建設株式会社が、材料噴射法による3Dプリンティング技術を実工事に初適用したことが報じられました。

どちらの方式も型枠が不要で、自由な形状の構造物を造形できるため、デザイン性の高い建築物や、オーダーメイドの住宅などを建てることが可能です。

さらに、3Dプリンティング技術は人手不足や高齢化、資材価格の高騰といった建設業界の慢性的な課題の解決につながるといわれています。
3Dプリンターによる建築物の建設は、型枠の設置や鉄筋の配置といった作業を自動化できるため、人手不足の解消や工期短縮になりますし、3Dプリンターで必要な材料だけを必要な量だけ使用するため、資材の無駄を減らし、コスト削減にもなります。

ただし、メリットばかりではありません。
3Dプリンティング技術は、まだ発展途上の技術であり、多くの課題を抱えています。
たとえば、3Dプリンターで使用できる材料は現状限られており、建築材料として3Dプリンターに適した材料の開発が必要になります。
大型の建築物を建設するには、技術的な課題が多く、さらなる研究開発を進めなくてはいけません。
3Dプリンターで建設された建築物に関する法規制も整備されていませんし、導入コストも決して安価とはいえません。
ほかにも、3Dプリンターが手に入りやすくなったことによる不適切な使用や、技術を知らない設計者の設計による不具合などの懸念事項もあります。

このように課題は多いものの、3Dプリンティング技術は建設業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めており、ここ数年は技術開発も急速に進んでいます。
今後は、大型構造物の建設やこれまで以上に複雑な形状の建築物を3Dプリンターで建設できるようになる可能性が高く、同時に法規制の整備やコストの低減が進むことで、3Dプリンティング技術がより実用的な技術として普及していくと考えられます。

建築事業者であれば、3Dプリンティング技術の動向に目を向け、自社の事業にどのように活用できるか、日頃から検討しておきましょう。


※本記事の記載内容は、2025年4月現在の法令・情報等に基づいています。