さんだん會計事務所

出向で労働者のスキルアップと賃金アップに取り組む事業主を支援

23.10.09
ビジネス【助成金】
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雇用の安定や職場環境の改善、従業員の能力向上や家庭と仕事との両立を支援するために、国や自治体からさまざまな助成金が支給されています。
事業を円滑に行うために活用したい助成金ですが、活用するためには一定の要件を満たしている必要があります。
実際にどのようなケースで助成金が活用できるのか、事例に沿って紹介します。
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産業雇用安定助成金スキルアップ支援コース

<Question>

事業体制を見直し、さらなる事業の拡大や転換を考えています。
それに伴い、今いる従業員のスキルアップをはかるため、関連事業の企業に勤務してもらい、自社に役立つスキルを磨いて戻ってきてもらいたいと思っています。
このような場合に企業をサポートしてくれるような補助金はあるのでしょうか?

<Answer>

そのような場合には、産業雇用安定助成金『スキルアップ支援コース』が利用可能です。

スキルアップ支援コースは、在籍型出向(出向元企業と出向先企業の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結び、出向先企業に一定期間継続して勤務すること)により、1カ月以上2年以内の期間出向し自社にはない実践での経験によって労働者に新たなスキルを習得してもらいます。
各種要件を満たした場合に、出向元の事業主に対して出向中の賃金の一部を助成金によって補助します。

なお、スキルアップ支援コースを利用する場合の注意点として、必ず在籍型出向である必要があります。

在籍型出向とは、あくまでも籍は自社にあり、出向というかたちで他社にて業務を行うことです。
そのため、従業員の転籍となる、移籍型ではこの助成金の対象にはなりません。
親会社と子会社間の出向などは資本的、経済的、組織的等関連性等から独立性の有無で判断されます。
出向元事業主と出向先事業主間で独立性が認められない場合、助成金は支給されません。

手続きの大まかな流れは、以下の通りです。
1.出向の計画、計画届提出
2.計画届に基づいて出向の実施
3.出向から復帰(5%以上賃金上昇)6カ月間
4.支給申請
5.労働局における審査、支給決定

【支給対象となる事業主】
以下の要件などを満たす、出向により労働者を送り出す事業主(以下、出向元事業主)に、本助成金は支給されます。

●出向元事業所が雇用保険適用事業所であること
●労働者のスキルアップにより企業活動を促進し雇用機会等の増大を目的として出向を実施すること
●労働者の出向復帰後6カ月間の各月の賃金を出向前賃金と比較していずれも5%以上上昇させること
●出向元事業所で、本助成金の支給対象となる期間に他の事業所の雇用保険被保険者を出向により受け入れ、他の事業所の事業主がその出向について本助成金、産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)、雇用調整助成金(出向)または通年雇用助成金の支給を受けていない(受けようとしていないことを含む)こと
●対象労働者を、支給決定時までの間に、事業主都合による解雇等(退職勧奨を含む)をしていないこと   など

※上記の要件以外にも必須要件があります。

【支給対象となる労働者】
出向元事業所において雇用される雇用保険の被保険者であって、本助成金の支給対象となる出向を行った労働者に対して本助成金は支給されます。
ただし、以下に該当する方は除きます。

●期間の定めのある労働契約を締結している方(有期契約労働者)
●出向開始日の前日時点において、出向元事業主に引き続き被保険者として雇用された期間が6カ月未満である方
●解雇を予告されている方、退職願を提出した方または事業主による退職勧奨に応じた方  
●日雇労働被保険者
●出向開始日の前日から起算して3年前の日から、当該出向開始日の前日までの間のいずれかの日において、雇用関係、出向、派遣、請負、委任等により、出向先事業所において就労したことがある方
●出向開始日の前日から起算して6カ月前の日から当該出向開始日の前日までの間のいずれかの日において、出向元事業主の事業の一環として行われる出向、派遣、請負等により出向元事業所以外の事業所において就労したことがある方   など

※このほかにも除外される条件があります。

【支給額】
支給される金額は次のとおりです。
●助成率
中小企業:2/3
中小企業以外:1/2
●助成額(中小企業、中小企業以外同様)
以下のいずれかの低い額に助成率をかけた額(最長1年まで)
(1)出向労働者の出向中の賃金のうち出向元が負担する額
(2)出向労働者の出向前の賃金の1/2の額
●上限額(中小企業、中小企業以外同様)
8,490円(※)/1人1日当たり
・1事業所1年度あたり1,000万円まで
・1人当たり1回まで
※雇用保険の基本手当日額の最高額(令和5年8月1日時点)。毎年8月に改正されるためご注意ください。

なお、このほかにも細かい支給要件があります。詳細は厚生労働省のホームページや専門家にお問い合わせください。

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001144043.pdf

※本記事の記載内容は、2023年10月現在の法令・情報等に基づいています。