さんだん會計事務所

一度は知っておきたい! 景品表示法の『景品規制』について

21.01.12
ビジネス【企業法務】
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新商品や新サービスを売り出す際に、付属品(試供品やおまけの品)を付けることがあります。
そんな付属品にも規制があることをご存知でしょうか。
子どもからお年寄りまで大好きな、商品の『おまけ』ですが、そんな試供品やおまけの品は、法律上『景品』と呼ばれ、さまざまな基準や規則が課されています。
今回は、何が景品に該当するのか、そして景品を提供する際にはどのような点に注意すべきなのかについてご説明します。
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景品規制の目的と、対象になる景品の種類

まず始めに、景品規制の目的について解説します。
景品はいわばサービスとしてもらえるものであり、消費者にとって得になれども損にはならないはずのものです。
それなのになぜ規制されているのか、疑問に思われる方もいるでしょう。

その理由の一つとして、過大な景品提供を防ぐことが、市場の競争を歪めないことにつながるから、というものがあります。
事業者が過大な景品を提供すると、消費者が景品に惑わされて、質のよくない商品や割高な商品を買ってしまう可能性があります。
また、過大景品による競争がエスカレートすると、事業者は商品・サービスそのものでの競争に力を入れなくなってしまうおそれもあります。

これらが消費者の不利益につながるため、景品表示法では、景品類にかけてよい最高額、総額などを規制して、一般消費者の利益を保護するとともに、不健全な競争を防止しているのです。

それでは、規制の対象となる『景品類』とは、どのようなものでしょうか。

もしも自社製品に付属品をつけようとしているのであれば、それが法に定められた『景品類』に該当するかどうかを、しっかり検討しなくてはなりません。

まず、景品表示法上の景品類とは

(1)顧客を誘引するための手段となるもの
(2)事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供するもの
(3)物品、金銭その他の経済上の利益になるもの

であると定義されています。

(1)については、たとえば、親睦、儀礼、謝恩のために提供してきた時節の菓子折りなども、顧客を誘引する手段として認められてしまう可能性があることに注意が必要です。

(2)の『付随して提供するもの』については、たとえばハンバーガーとドリンクのセットであれば、二つで一つの提供物となるため、ドリンクは取引に付随して提供されるものではなく、景品に当たりません。
さらに、付随して提供するものであったとしても、『正常な商慣習に照らして当該取引にかかる商品またはサービスと認められる経済的利益』については、景品類に当たらないことになっています。
たとえば、『2個購入したら、100円引き』『コーヒーを5杯注文したら1杯無料』といったケースでの提供物は、景品類に当たりません。

 
景品類にはどのような規制があるか

景品規制の内容としては、業種にかかわらない規制と特定の業種に関する規制の二種類に分かれます。

業種にかかわらず適用される規制の中には、

●商品やサービスの利用者に対して、くじや抽選などで景品を提供する『一般懸賞』
●商店街の福引きのように、複数の業者が参加して行う『共同懸賞』
●ペットボトル飲料のおまけや先着プレゼントのような、もれなく提供される『総付景品』

など、景品の種類に応じた規制があります。
ここでは、総付景品と呼ばれる規制について説明します。

総付景品は金額として、景品類の提供にかかる取引の価額の10分の2(ただし、取引価額が1,000円未満の場合には、200円)の範囲内におさめるよう、法律で定められています。
それと同時に、正常な商慣習に照らして適当と認められる限度を超えるものを提供することも禁止されているので注意が必要です。

もっとも、総付景品にもいくつかの例外があります。

(1)商品の販売もしくは使用のためまたは役務の提供のために必要な物品またはサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの
(2)見本その他宣伝用の物品またはサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの
(3)自己の供給する商品または役務の取引において用いられる割引券その他割引を約する証票であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの
(4)開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品またはサービスであつて、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの。見本や自社のみに使える割引券など

これらのものは、例外として認められているため、たとえば化粧品を販売する際に、お試し用に別の美容液の小分けパックをつけたり、自社製品のみに使える割引券をつけたりすることは問題ありません。
もっとも、『正常な商慣習に照らして適当と認められる』ことが前提のため、常識の範囲内での提供に限られます。

このほか、『一般懸賞』、『共同懸賞』についての規制もありますので、一度確認してみるとよいでしょう。

景品類を提供する際には、このような価額制限があります。
もし、知らずに破ってしまうと、消費者庁から『措置命令』を下され、再発防止策の実施などを命ぜられてしまうかもしれません。
そうした事態にならないためにも、景品規制に関する知識を持っておきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。