さんだん會計事務所

クリニックの質も経営も向上! スタッフ研修の効果を上げるには

20.03.03
業種別【歯科医業】
dummy
歯科クリニックにとって大事なのは、歯科医師の技術だけではないでしょう。
スタッフ一人ひとりが専門性を高め、活き活きと働いているクリニックは魅力的です。
そのことを心得ている経営者は、スタッフ研修に余念がありません。
ではいったい、どのような研修が功を奏するのでしょうか。
今回は、外部の研修や資格取得などによるスキルアップに焦点を当てて解説していきます。
dummy
スタッフ研修でやる気と能動性を引き出す

スタッフ研修を取り入れるクリニックが増えています。
せっかく時間とお金をかけるなら、スタッフの自立性と能動性を促し、クリニックの経営に貢献する人材を育てたいものです。

一般的には、歯科医師がスタッフにさまざまなことを伝授する、先輩から後輩へ手ほどきするといった研修が多いでしょう。
これは、勤務時間内でシフトをやりくりしながらできるので、効率よく学べるスタイルといえます。
ただ、このやり方はトップダウンなので、スタッフは与えられた研修を享受するしかありません。
もしかしたらもっと有効な、あるいは高いニーズのある内容があるかもしれませんが、教えられる側が中身の精査をする余地はありません。
また、『仕事の一環として出席しておけばいい』とか『出席しておけば追加報酬になる』という感覚のスタッフに対しては、貴重な時間と人件費の無駄になります。

では、どのような研修がスタッフの育成に役立つのでしょうか。
ポイントとしては、院内研修だけでなく、あえて外部の講師による研修を取り入れ、トップダウンの構造の枠外で、学びの機会を得てもらうことです。
上下関係といったパワーバランスが働かないなかで学ぶことで、自立性が培われます。
また、そこで得たことは良くも悪くもクリニック側にフィードバックされるはずです。

内容としては、スタッフ自身のキャリアアップを実現させることが基本です。
たとえば、ノンキャリアの人には歯科助手の資格取得補助、歯科衛生士には民間のステップアップ研修などを提供するといいでしょう。
目指すところは、スタッフ各自が持ち場の専門性を向上させること。
スタッフの専門意識は、チーム医療を形成する上でも必須ですし、クリニックのクオリティアップに欠かせません。


プラスアルファの研修・資格がクリニックの特色に

通常の歯科業務を向上させるのが、研修の一番の目的ではありますが、業務の幅を広げることを視野に入れた研修を行ってもよいでしょう。
たとえば、以下のような内容が考えられます。

(1)受付スタッフ
クリニックの窓口ともいえるスタッフの質を高めるだけでも、実はリピーターを増やしたり、感じがいいというような口コミで新規の患者が増えたりといった効果を見込めます。
逆にいうと、窓口対応や電話対応に満足してもらえないだけで、患者を逃がしている可能性が案外高いのです。
もちろん受付スタッフだけでなく、スタッフ全員のホスピタリティを高めることができれば、経営向上に大いに役立ちます。
そのことをよくわかっているクリニックは、歯科医療接遇の研修を行っています。
ネットなどで探すと、訪問型の研修パックを提供している会社をいくつも見つけられます。
一般的なマナー研修にとどまらず、歯科特有のカウンセリングを身につけることもでき、患者のニーズに合わせて業務の幅を広げられます。

(2)歯科助手
歯科助手であれば、テクニックを向上させる資格に挑戦してもよいでしょう。

●忙しい歯科医師と患者の間を上手につなぐ『トリートメントコーディネーター』
●歯科分野でも注目されている『サプリメントアドバイザー』
●団塊世代の高齢化にともなってニーズが高まっているアンチエイジング向けの『ビューティーアドバイザー』
●カウンセリングのスキルアップができる『デンタルカウンセラー』
●矯正歯科で活躍できる『歯並びコーディネーター』
●親子対象の『食育インストラクター』 など

これらは歯科助手はもちろん、歯科衛生士も修得できます。
資格取得をきっかけに新規のプログラムを発足し、その担当者としても活躍してもらえば、クリニックの強力な稼ぎ頭になってくれるかもしれません。

(3)歯科衛生士
歯科衛生士の資格があれば、より専門的なスキルアップができます。
独自性の高い資格も多々あり、クリニックの特色となるようなプログラムも大いに展開できるでしょう。
たとえば、下記のようなものがあげられます。

●ホワイトニングのプロといえる『ホワイトニングコーディネーター』
●高齢化社会で注目が高まっている、摂食・嚥下障害の方や介護者などへの支援を行う『嚥下トレーナー』
●歯科人間ドックを確実に支える『ドックコーディネーター』
●アスリートの口腔衛生管理指導のほか、マウスガードやフェイスガードを必要とするアスリートにカウンセリングを行うことができる『スポーツデンタルハイジニスト』 など

ポイントとしては、経営サイドの思いは少し抑えて、スタッフ自身の将来のキャリアにとって有効な学びをチョイスしてあげることです。
歯科衛生士にとっては、キャリアアップはとても重要だからです。
歯科衛生士の潜在能力をぐっと引き出せる勉強を、本人任せではなく、クリニック側がしっかりバックアップすると、力をつけた後にクリニックにきちんと貢献してくれるはずです。

このように、今いるスタッフを強化することは、クリニックの経営において大きなメリットがあります。
各スタッフの得意分野が増えれば、それがクリニックの特色にもなります。
スタッフにとっても、資格取得によって報酬アップが叶ったり大きなやりがいを感じたりできれば、日々の業務に、より積極的にモチベーション高く取り組んでくれるはずです。
ぜひ一度研修内容について考えてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。