さんだん會計事務所

優秀な人材は逃さない! 人事戦略の一つ『リテンション』を学ぼう

19.06.25
ビジネス【人的資源】
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従業員の退職は、経営者にとって悩みの種。
会社のパワーダウンは免れませんし、新たな人材を確保するには資金も労力も必要です。
従業員の定着は、すべての企業の課題といってよいでしょう。
環境や待遇を求めて人材の流動化が進むなか、人材の定着を試みる『リテンション』という活動が各企業で行われ始めています。 
今回は、社員の働きやすい環境を整えるこの『リテンション』をご紹介します。
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金銭的報酬と非金銭的報酬でリテンションを高めていく

『リテンション』はもともと“維持”“保持”を意味する言葉で、現在、企業の人事においては、待遇の改善や社内コミュニケーション活性化のほか、能力開発・教育制度の制定、キャリアプランの提示などによって、人材の確保や定着を試みることを言うようになっています。

日本では長らく終身雇用制が主流で人材の流動も少なかったため、これまではリテンションの重要性が認識されずにいました。
しかし、近年は転職市場が活発化し、他社でも欲しがられるような優秀な人材は、企業側が積極的な施策を行わなければ定着しにくくなっています。

リテンションを高める方法には『金銭的報酬』と『非金銭的報酬』の二つがあります。
もちろん賃金のアップや、残業代の未払いをなくすことは、人材の定着につながります。
しかし単に賃金を上げればよいわけではありません。
昇給へと至った明確な理由を示して、社員の意欲と会社への満足度を引き上げていくことが重要です。
そのために必要なのが、適切な人事評価制度です。
できるだけ納得のできる評価制度であることが望ましいため、会社が一方的に決めるのではなく、社員の意見もよく聞いて決めることも重要といえるでしょう。

金銭的報酬の改善だけでは、優秀な人材は、よりよい金銭的条件を提示されれば、他企業に移籍してしまう可能性があります。
金銭的報酬と同時に、やりがいやスキル・キャリア向上などの非金銭的報酬を提供する施策が、多くの企業で重要視されてきています。


キャリアアップ支援から社内コミュニケーションまで

続いては、具体的な非金銭的報酬施策を紹介していきます。

・専門スキルの育成、キャリアアップの支援
会社に自身の成長機会を求めている人は少なくありません。そのような人たちには、専門スキルの育成やキャリアプランの相談などの施策が有効です。

・ワークライフバランスの実現
画一的な勤務形態ではなく、テレワークや時短労働、フレックスタイム制、育児休暇制度の充実など、社員が働きやすい勤務形態を導入して、仕事と生活が調和する環境を目指します。

・社内環境の整備
社員に会社のメンバーとしての帰属意識と、強固なアイデンティティーを持たせることも重要です。そのための手段として、業務時間内に自由参加の懇親会を開いたり、社内SNSを活用したりすることで、社員同士が自由に意見交換できる環境を整えます。社員の横のつながりが人材流出を抑制する効果を持ちます。

・経営者とのコミュニケーション
経営者と対話する機会をつくると、組織の風通しがよくなり、一体感が生まれます。縦のつながりを強化することで、社員のモチベーションや会社への信頼感が高まります。

会社の風土や勤務形態はさまざまで、『リテンション』に絶対的な正解はありません。
会社の環境に合った施策を探して、取り入れてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年6月現在の法令・情報等に基づいています。