既製品のメニューを提供する際に気をつけたいこと
自分の店で提供するメニューを作るうえで、切っても切り離せないのが既製品です。
近年は技術の進歩により既製品の品質が高くなってきており、冷凍食品などは簡単な調理で、自家製メニューと遜色のないレベルのものを提供することが可能になりました。
一方で、既製品には「ほかと似たような味になってしまう」「オリジナリティを出しづらい」などのデメリットもあります。
既製品のメリットとデメリットを理解したうえで、上手に活用する方法を考えていきましょう。
既製品を自分の店のメニューにするメリット
飲食店を経営するうえで、こだわらなければならないものの一つが、お客に提供するメニューです。
特色を出して他店と差別化を図るため、自家製メニューに力を入れている飲食店もありますが、自家製は仕込みに手間がかかりますし、調理のオペレーションも複雑になりがちです。
仕込みや調理に時間がかかるということは、それだけ人件費がかかるということでもあります。
スタッフに仕込みや調理を一から教育する必要も出てきます。
個人店ではコストや手間の問題から、すべてを自家製メニューにすることはむずかしいでしょう。
そこで積極的に活用したいのが既製品です。
既製品とは食品メーカーや専門店が販売している完成品や一部の工程を済ませた食材のことです。
飲食店側は既製品を購入して、簡単に手を加えるか、もしくはそのまま自分の店のメニューとして提供することが可能です。
たとえば、ナッツ類やクラッカー、乾き物などはそのまま手を加えずに提供できますし、唐揚げやフライドポテトなどの冷凍食品はフライヤーで揚げるなどの簡単な調理で、温かい状態でお客に提供できます。
ケーキやアイスクリームのデザート系も、今は多くの店が既製品を使用しています。
こうした既製品を活用することで、仕込みや調理の手間と時間を削減でき、スピーディーな提供が可能になります。
自家製にこだわるあまり、お客への提供が遅れて、満足度を下げてしまっては意味がありません。
また、既製品といっても、実際には工場で人の手によって作られており、技術の進歩もあって、自家製と変わらないレベルの料理などを提供できるようになってきています。
完成度の高い既製品は飲食店経営の強い味方となるでしょう。
転売禁止の商品を出してしまうと問題も
効率化や顧客満足度の向上に役立つ既製品ですが、多くの店で使われている分、オリジナリティを出しづらく、ほかの店と似た味になってしまうという懸念点があります。
特に競合店の多い地域では、既製品だけではお客を魅了することはむずかしいでしょう。
そこで、別の既製品と組み合わせたり、味に変化をつけたりするなどの工夫が必要になります。
ソースやドレッシングを変えるだけでも、料理の印象は大きく変わります。
上手なアレンジができれば、店の看板メニューにすることも不可能ではありません。
また、あまり他店が使わない珍しい料理の既製品であれば、そのまま店の看板メニューにすることも可能です。
ただし、既製品を自分の店の看板メニューとして提供する際に、気をつけなければならないことがあります。
2024年9月、京都のカフェが有名菓子専門店で購入したケーキをそのまま提供していたことが発覚して、物議を醸しました。
有名菓子専門店では自社商品の転売や再販売、その他営利を目的としての購入を禁じており、公式サイトでも同様の声明を発表しています。
既製品をメニューの一つとして提供することに法的な問題はありませんが、この有名菓子専門店のように、明確に転売や再販売を禁止している店の商品を取り扱うと、批判を集めることになりかねません。
ましてや他店の商品を自家製と偽って提供していた場合は、景品表示法違反にあたる可能性もあります。
現在この騒動を受けて、カフェでは有名菓子専門店のケーキの提供を取りやめています。
既製品は飲食店になくてはならないものですが、すべての食品メーカーや専門店の商品を自分の店のメニューとして提供できるわけではありません。
消費期限や保管方法などのほかに、転売および再販売の可否、食品メーカーや専門店の方針などをよく確認したうえで、既製品の利用を判断しましょう。
※本記事の記載内容は、2024年12月現在の法令・情報等に基づいています。