税理士法人大沢会計事務所

空き家を売った場合に利用できる特例

16.08.01
税務・経営お役立ち情報
dummy
最近、住む方がいなくなり放置された空き家が周辺へ悪影響を与えていることが大きな問題となっています。

今年の税制改正では、被相続人(お亡くなりになった方)の居住用家屋を相続した方がその家屋を譲渡もしくは取り壊して更地を譲渡した場合に譲渡所得から3000万円を控除できる特例制度が創設されました。


(制度の概要)
相続開始直前において(つまりお亡くなりになる直前まで)、被相続人(お亡くなりになった方)のみが居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、その家屋又は家屋を取り壊した後の土地を一定期間内に譲渡した場合、譲渡所得から3000万円を控除することができます。なお、家屋を譲渡する場合に耐震性がない家屋は耐震リフォームをすることが必要とされています。

制度のポイントは以下のとおりです。


1.適用期間
平成28年4月1日~平成31年12月31日までの譲渡で、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡にのみ適用


2.適用される家屋は以下の条件を全て満たす必要があります。
・相続開始前は被相続人(お亡くなりになった方)の居住用家屋であった
・相続開始前は被相続人(お亡くなりになった方)以外に居住していた方はいなかった
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋である
・区分所有建築物ではない
・相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用、居住の用に供されていたことがない
・家屋を取り壊して土地を譲渡する場合には、土地について譲渡のときまで事業の用、貸付の用、居住の用に供されていたことがない


3.譲渡対価の額
譲渡対価が1億円を超える場合は対象外となります。


4.譲渡する家屋
家屋を譲渡する場合は、譲渡時に家屋が現行の耐震基準に適合している必要があります(現行の耐震基準を満たすために耐震リフォームが必要な場合があります)。


5.特別控除額
3000万円


6.申告手続き
確定申告書に、この特例の適用を受ける旨等一定の事項を記載し、家屋等の登記事項証明書、地方公共団体の長が発行する確認書、売買契約書の写し等を添付することが必要となります。

国税庁がこの制度について今年の税制改正の資料を公表していますが、国税庁よりも以下の国土交通省が公表している資料がより参考になると思います。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
http://www.mlit.go.jp/common/001127709.pdf


公認会計士・税理士 大沢日出夫