税理士法人大沢会計事務所

フレックスタイム制の残業はどう対応する?

15.10.29
ビジネス【労働法】
dummy
当社では、研究職を対象にフレックスタイム制を適用しています。コアタイム、フレキシブルタイムの両方を設定していますが、頻繁にフレキシブルタイムの時間帯を超え、深夜残業する従業員がいます。

本人は「協定で定める時間帯内では、仕事を処理できない」と主張します。どのような対応が考えられるでしょうか?
dummy
フレックスタイム制は、「始業・終業の時刻を労働者の決定にゆだねる」制度です(労働基準法32条の3)。しかし、労使のオプションにより、協定でコアタイムやフレキシブルタイムを定めることもできます。 

コアタイムは「労働者が労働しなければならない時間帯」、フレキシブルタイムは「選択により労働することができる時間帯」を指します。 

フレックスタイム制の対象者であっても、フレキシブルタイムを無視して、始業・終業時刻を定めることは認められません。 

本人は「フレキシブルタイムを順守していたのでは、とても仕事が終わらない」と反論します。しかし、フレックスタイム制では変形時間内で仕事配分のやりくりが可能です。「その日のうちに終えなければならない業務」が常態的に発生するとは考えられません。 
フレキシブルタイムを設定する理由は以下の2点が挙げられます。 

1.施設・従業員の安全を確保するため 

2.深夜割増が発生する時間帯の就労を制限するため 

ですから、フレキシブルタイム以外の時間帯に就労する必要が生じた際には、上長の許可を受ける等のルールを明確化しておくのがベターです。 

許可手続きを履行しない場合、職場規律違反ですから、懲戒の対象となり、昇給・賞与・昇格考課等に反映させることもできます。 

許可を受けるように口を酸っぱくして注意したにもかかわらず、無断でフレキシブルタイムを超える残業を行った場合、「使用者の指示に反する労働であるから、賃金請求権は発生しない」という考え方も成り立ちます。 

それでもルールを順守しないようであれば、フレックスタイム制の適用対象者から除外する(所定の始業時刻から就労する義務が生じます)対応もあり得ます。 


現場で気になる労働法Q&A


【記事提供元】 
労働新聞2015年10月19日号