税理士法人大沢会計事務所

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置

15.02.24
税務・経営お役立ち情報
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平成27年度の税制改正で、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」(非課税枠1000万円)の導入が予定されています。


教育資金の一括贈与の非課税措置(非課税枠1500万円)については平成25年度の税制改正で導入され、平成25年4月1日から制度が始まっております。
信託銀行等の金融機関が作成したパンフレットをご覧になられた方も多くいらっしゃると思います。


今回導入が予定されている結婚・子育て資金の贈与税の非課税制度は、教育資金の制度と同じように金融機関に専用の口座を開設して資金を管理するものですが、教育資金の制度とは税務上の取り扱いが異なる部分がありますので、利用する際にはよく検討する必要がありそうです。
予定されている制度の概要は以下のとおりです。
・親・祖父母(贈与者)は金融機関に子・孫(20歳から50歳。受贈者)名義の専用口座を開設し、結婚・子育て資金を一括して拠出する。この資金については子・孫ごとに1000万円を非課税とする。

・平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものが対象

・払い出し可能な使途(金融機関が領収書等をチェック)としては、挙式費用、新居の住居費、引越費用、出産費用、子の医療費等が予定されています。

・受贈者が50歳に達する日に口座は終了。使い残しに対しては贈与税を課税する。


教育資金の一括贈与の非課税制度と大きく異なるのは、贈与者(親・祖父母)が死亡したとき、この口座の残高を相続財産に加算して相続税を計算する点です。


教育資金の一括贈与の非課税制度では、贈与者が死亡した場合、口座の残高を相続財産に加算する必要はありません。
また、相続税の計算では、相続開始前3年以内に贈与があった場合に贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算したうえで計算することとされていますが、教育資金の非課税制度の対象となったものはこの3年以内贈与財産の加算対象からも除外されています。


教育資金の一括贈与の非課税制度は相続税の節税手段として利用する方が多くいらっしゃるようですが、今回導入が予定されている結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度は、相続税の節税手段として利用するメリットがあまりないと考えられるため、教育資金の制度よりも利用する方は少ないのではないのでしょうか。