税理士法人大沢会計事務所

金融所得の税金について

21.10.18
税務・経営お役立ち情報
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岸田総理が総裁選で公約に掲げた「金融所得課税の見直し」ですが、金融所得とされる上場株式の譲渡益や配当金は現在の税制でどのくらいの税率で課税されているのでしょうか。

個人が得る他の所得と比べて税率が低いのでしょうか。
上場株式の譲渡益については他の所得と区分して税金が計算され(分離所得)、所得税と住民税を合わせて20.315%で課税されます。

上場株式の配当金については所得税と住民税を合わせて20.315%で源泉徴収されます(確定申告で総合課税の所得として申告することも可能)。

なお、年間投資額120万円までのNISA口座で運用すれば譲渡益も配当金も非課税です。

給与所得、不動産所得(土地や建物を貸している場合の所得)、事業所得(個人で商工業・農業などの事業を行っている場合の所得)については総合課税とされ、所得金額に応じて税率が変わり、所得税と住民税を合わせて15.105%~55.945%で課税されます。


上場株式の譲渡益も配当金も金額が多額になっても税率は変わらないため、総合課税の高い税率と比較すると上場株式の譲渡益・配当金に課税される税率のほうが低くなることになります。


この上場株式の譲渡益・配当金の税率(20.315%)を上げようというのが「金融所得課税の見直し」ということだと思いますが、不動産を譲渡した場合の税率(所有期間5年超の長期譲渡所得)は所得税と住民税を合わせて20.315%であり、上場株式の譲渡益と同じ税率です。他の所得に課税される税率とのバランスを考えると、どの程度上げるのかというのは非常に難しい問題だと思います。

公認会計士・税理士 大沢日出夫
https://www.osawakaikei.jp/