税理士法人大沢会計事務所

社員が副業している場合の労働時間、どう管理する?

20.11.04
人事・労務お役立ち情報
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厚生労働省は、令和2年9月1日に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定しました。今回は、労働時間の管理(原則的な取扱いの部分)について紹介します。
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」


<労働時間の管理>

労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合には、労働基準法38条1項に基づき、以下により、労働時間を通算して管理することが必要である。


①労働時間の通算が必要となる場合

●労働者が事業主を異にする複数の事業場において「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、労働時間が通算される。

●法定労働時間、時間外労働の上限規制について、労働時間を通算して適用される。



②副業・兼業の確認

●使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認する。

●使用者は、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましい。



③労働時間の通算

●労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行う。

●副業・兼業の開始前に、自社の所定労働時間と他社の所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分は後から契約した会社の時間外労働となる。

●副業・兼業の開始後に、所定労働時間の通算に加えて、自社の所定外労働時間と他社の所定外労働時間を、所定外労働が行われる順に通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分が時間外労働となる。



④時間外労働の割増賃金の取扱い

●上記③の労働時間の通算によって時間外労働となる部分のうち、自社で労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払う必要がある。



★以上のように、労働者が副業・兼業をした際の労働時間の通算や時間外労働の割増賃金の取扱いは複雑です。
改定後のガイドラインでは、簡便な労働時間管理の方法(「管理モデル」)も示されています。参考になさってください。

関連リンク:厚生労働省「副業・兼業」

社会保険労務士 大沢富士夫