税理士法人大沢会計事務所

パワハラ防止措置の義務化スタート

20.07.01
人事・労務お役立ち情報
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令和2年6月1日から、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務とされました。一定の中小事業主については、令和4年4月1日から義務で、それまでは努力義務となります。今一度、内容を確認しておきましょう。
1.職場における「パワーハラスメント」とは?

 職場において行われる
 ① 優越的な関係を背景とした言動であって、
 ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
 ③ 労働者の就業環境が害されるものであり、
 ①~③までの要素を全て満たすものをいいます。
 ※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、該当しません。


2.職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置

 ① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
 ② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
 ③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
 ④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
 ⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
 ⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと(注1)
 ⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと(注1)
 ⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること(注2)
 ⑨ 相談者・行為者等のプライバシー(注3)を保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
 ⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
  (注1)事実確認ができた場合 / (注2)事実確認ができなかった場合も同様
  (注3)性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含む


3.事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止

 ○ 労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由として、事業主がその労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを、法律上禁止。


一定の中小事業主については令和4年3月31日までは努力義務ですが、厚生労働省では、早めの対応を促しています。
厚生労働省のハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、パワーハラスメント対策に取り組む企業のために「パワーハラスメント対策導入マニュアル」が公開されています。取組のポイントの解説に加え、研修資料やアンケート用紙など、取組みに必要な参考資料が豊富に収録されていますので、社内のハラスメント対策にご活用ください。

厚生労働省「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

「パワーハラスメント対策導入マニュアル」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/pwhr2019_manual.pdf

社会保険労務士  大沢 富士夫