税理士法人大沢会計事務所

新型コロナウイルスで従業員を休業させる時の助成金

20.03.05
人事・労務お役立ち情報
dummy
新型コロナウイルスの感染により、不安の広がりとともに私たちの暮らし、仕事、社会、経済に影響が出てきています。
企業経営においては、従業員の休業を行うケースも増加が見込まれます。厚生労働省では先日より特例措置を講じていた雇用調整助成金について、更なる対象事業主拡大を発表しました。
雇用調整助成金とは

景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されるものです。

<参考リンク>
厚生労働省「雇用調整助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html


(1)特例措置の対象事業主の範囲の拡大

 特例措置の対象となる事業主が「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」とされ、大幅に拡大されます。
 
[現行の対象事業主の範囲]
 日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主 
 
[拡大後の対象事業主の範囲]
 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主
 
※これにより、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となります。


(2)特例措置の内容

 休業等の初日が、2020年1月24日から2020年7月23日までの場合に適用されます。
 
1 休業等計画届の事後提出が可能とされます。
 通常、助成対象となる休業等を行うにあたり、事前に計画届の提出が必要ですが、2020年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、2020年5月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものとされます。
 
2 生産指標の確認対象期間が3か月から1か月に短縮されます。
 最近1か月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たします。
 
3 最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とされます。
 通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3か月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件が撤廃されます。
 
4 事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とされます。
 2020年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を令和元年12月の指標と比較します。
 
<参考リンク>
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の対象事業主の範囲の拡大について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09852.html?fbclid=IwAR0hgp9beUxFBWBlNl6YKq8cIMwljv4VjYOm77ctAg-rAWXP3JncUWe2qgo
今回の対応により、多くの企業で雇用調整助成金の特例を適用できるようになります。厚生労働省からQ&Aも公開されていますので、従業員の休業を検討する場合には、要件に該当しないかチェックするようにしましょう。

<参考リンク>
「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置に関するQ&A(令和2年3月4日版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000603779.pdf


さらに

厚生労働省は「雇用調整助成金」とは別に、今般の新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により影響を受ける労働者を支援するため、労働者を有給で休ませる企業に対し助成する仕組みを設ける予定だということです。(令和2年3月2日公表)

その概要は、次のとおりです。

● 事業主(対象となる事業主)
 次の①又は②の子の世話を行うことが必要となった労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、 有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主。
 ① 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等に通う子
 ② 風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子
 
● 支給額:休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10
   ※支給額は8,330円を日額上限とする。
   ※大企業、中小企業ともに同様。

● 適用日:令和2年2月27日~3月31日の間に取得した休暇

さらなる詳細については、速やかに検討を進め、公表するとのことです。

<参考リンク>
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09869.html


社会保険労務士 大沢富士夫