税理士法人大沢会計事務所

副業・兼業したときの労働時間管理はどうなる?

19.09.04
人事・労務お役立ち情報
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政府は人手不足等への対応のため、副業・兼業の促進を図ろうとしています。そのためには、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方を明確にしなければなりません。
そこで、厚生労働省に検討会が設けられ、令和元年(2019)8月8日、検討の結果が報告書としてとりまとめられました。
報告書では、主に、労働者の健康管理、時間外労働の上限規制、割増賃金という観点から、今後の方向性として考えられる選択肢の例示が整理されています。今回は、割増賃金についての要点を紹介します。

<副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会報告書>
割増賃金について

●日々、他の事業主の下での労働時間を把握することは、企業にとって、実施することが非常に困難であって、結果として、①違法状態が放置され労働基準法に対する信頼性が損なわれかねないこと、②別の事業主の下で働く場合に、労働時間を通算して割増賃金の支払い義務があることが、時間外労働の抑制機能を果たしていない面もあること等を踏まえ、例えば、以下のような制度の見直しが考えられる。

その1 労働者の自己申告を前提に、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設けること。(例:使用者の予見可能性のある他の事業主の下での週や月単位などの所定労働時間のみ通算して割増賃金の支払いを義務付けること)

その2 各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付けること
※ その他、割増賃金の支払いについて、日々計算するのではなく、計算・申告を簡易化すること等も考えられる。


厚生労働省はこの報告書を踏まえ、今後も引き続き労働労働政策審議会において検討を行うこととしています。最終的にどのような結論が導き出されるのか、動向に注目です。

社会保険労務士 大沢富士夫