税理士法人大沢会計事務所

働き方改革関連法<長時間労働者に対する面接指導等に関する改正>

19.05.10
人事・労務お役立ち情報
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平成31(2019)年4月に主要な改正規定が施行された「働き方改革関連法」について、長時間労働者に対する面接指導等に関する改正の要点を取り上げます。
長時間労働やメンタルヘルス不調などにより健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、医師による面接指導が確実に実施されるようにし、労働者の健康管理を強化することが求められます。
労働時間の状況の把握

■事業者は、労働安全衛生法の規定による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。

■事業者は、これらの方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければなりません。
※労働時間の状況の把握は、労働者の健康確保措置を適切に実施するためのものであり、その対象となる労働者は、高度プロフェッショナル制度の適用者を除き、①研究開発業務従事者、②事業場外労働のみなし労働時間制の適用者、③裁量労働制の適用者、④管理監督者等、⑤派遣労働者、⑥短時間労働者、⑦有期契約労働者を含めた全ての労働者です。 


労働者への労働時間に関する情報の通知

■事業者は、時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。
※当該通知については、高度プロフェッショナル制度の適用者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者などを含めた全ての社員に適用されます。


医師による面接指導の対象となる労働者の要件
■面接指導の対象となる労働者の要件を、時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者に拡大しました。(改正前は「80時間」ではなく、「100時間」でした)
※面接指導を行うに当たっては、この要件に該当する労働者の申出により行います。


これまで、労働時間の状況の把握は主に割増賃金の未払いの防止に着目して行うこととされていたため、管理監督者などは対象外とされていました。
しかし、平成31年4月からは、労働者の健康確保措置を適切に実施するためのものと位置付けられ、管理監督者なども対象とされます。
上記のほか、「産業医・産業保健機能の強化」といった改正も行われています。ここで紹介した各ポイントの詳細なども含めてアドバイスをさせていただきます。
社会保険労務士 大沢富士夫