税理士法人大沢会計事務所

会社で契約する保険の経理処理が変わります

19.04.17
税務・経営お役立ち情報
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今月4月11日に国税庁が「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正案をパブリックコメントとして公表しました。
内容は、法人(会社)が契約する生命保険の保険料の経理処理の変更です。
今年の2月に国税庁から生命保険会社に対して税務の取り扱いの見直しを検討している旨の通知があり、それに伴い各生命保険会社は法人契約の生命保険について一部販売を停止していましたが、今月になって経理処理の新たなルール(案)が明らかにされました。
従来の経理処理(損金処理)と比較すると、損金に算入される金額が制限されるような改正となっています。

新ルール(案)のポイント

1.新ルールの対象となる契約
・法人(会社)契約で被保険者が役員または従業員
・保険期間は3年以上
・定期保険又は第三分野保険

2.適用時期
新たなルールの適用時期は現在、未定となっていますが、過去に契約されたものについては従来通りの経理処理が認められる予定です。


3.新たな経理処理(損金処理)ルールの概要
最高解約返戻率(保険期間の中で最も支払保険料に対する解約返戻金の割合が高くなる時の返戻率)の割合に応じて異なることとなります。
・最高解約返戻率が50%以下の契約…保険料の全額損金計上可
・最高解約返戻率が50%超70%以下の契約…保険期間の始めから4割の間は保険料の40%を資産計上、保険期間7.5割経過後から資産計上額を取り崩す
・最高解約返戻率が70%超85%以下の契約…保険期間の始めから4割の間は保険料の60%を資産計上、保険期間7.5割経過後から資産計上額を取り崩す
・最高解約返戻率が85%超の契約…保険期間の始めから10年間は保険料の(最高解約返戻率×90%)を資産計上、その後一定の期間まで保険料の(最高解約返戻率×70%)を資産計上、解約返戻金額が最も高くなる時期から資産計上額を取り崩す

いわゆる「節税」を目的に生命保険会社が販売していた商品はこの改正によりかなり販売件数が少なくなるのではないかと思います。
公認会計士・税理士 大沢日出夫
https://www.osawakaikei.jp/