税理士法人大沢会計事務所

変わる?有給休暇の管理方法

19.03.08
人事・労務お役立ち情報
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働き方改革関連法」のひとつとして、2019年4月からすべての企業を対象に、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して年5日を使用者が時季指定し取得させることが義務付けられます。この改正に伴い、企業(使用者)は「年次有給休暇管理簿」を作成して保存することが義務付けられることになりました。今回は、その「年次有給休暇管理簿」をとりあげます。
「年次有給休暇管理簿」とは?
年次有給休暇管理簿とは、労働者ごとに年次有給休暇の、時季、日数、基準日を明らかにした書類です。

●年次有給休暇の時季
労働者が年次有給休暇を取得した具体的な日付を記載します。
「4月1日」「12月5日」のような日付ごとの記載、連続する場合は、「3月12日〜3月15日」のように記載します。

●年次有給休暇の日数取得日数のことです。労働者が自ら請求し取得したもの、使用者が時季を指定し取得したもの、または計画的付与により取得したものにかかわらず、基準日からの1年間に労働者が取得したすべての日数を記載します。半日単位や時間単位で取得した回数や時間単位で取得した時間数も、管理すべき日数に含みます。

●年次有給休暇の基準日労働者に年次有給休暇を取得する権利が与えられた日を記載します。

残日数の管理だけでは不十分に
年次有給休暇の管理方法は、前年からの繰り越し日数を含めた「残日数」を管理する方法をとっている企業が一般的だと思われます。
しかし、残日数による管理では年5日の取得義務を満たしているかを使用者においても確認することができず、法改正後の管理方法として不十分であるため、取得日数を基準とした管理が義務付けられることになります。

作成義務化の目的は
年次有給休暇管理簿は、当該年次有給休暇を与えた期間(基準日から1年間)とその後3年間の保存も義務付けられていますが、年次有給休暇管理簿の制度趣旨は、それ自体を「作成して保存すること」が目的ではなく、重要なのはあくまでも「年5日の年次有給休暇を確実に取得させること」であり、そのために最低限講ずべき措置として定められたものと言えるでしょう。


年次有給休暇管理簿は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することも認められており、労働者ごとに必要事項を管理できるものであれば、その形式は任意です。現在お使いの勤怠システムから作成できるのであれば問題ありませんが、対応できないようでしたらできるだけご負担のない方法をご案内いたします。気軽にお声かけください。

社会保険労務士 大沢富士夫